古き良き江戸を知る…「しながわみやげ」
地方に行く時に、ちょっとした東京の手土産を…と探そうとするのですが、これが意外と難しいものです。なにしろ今や、「東京」のお土産と言っても、たいていは地方でも手に入ってしまうのですから。
そこで最近目をつけているのは、「東京」の中でもより狭いエリアを謳ったおみやげです。ちょうど「広報しながわ」に「しながわみやげ」が取り上げられていたので、ご紹介。
「しながわみやげ」は、「しながわみやげコンペティション」を実施して認定されているもの。これなら、よりマニアックな東京地元みやげが見つかりそうです。今年は31点が認定を受けたそうですが、中でも私が気になったのが「焼海苔(のり)3号缶1本化粧箱入」。なんでも江戸前東京湾産にこだわっているそう。焼き海苔が入っている化粧箱も、昔の品川をしのばせるようです。そう、品川と言えばいわずとしれた東海道五十三次の品川宿のあったところ。江戸の歴史を感じさせるものが「しながわみやげ」にも多く反映されています。
ところで東京湾で海苔?と思われるかもしれませんが、品川はその昔、遠浅のよい海だったということです。このことは私も、高校時代所属していた落語研究会で、おなじみの古典落語「品川心中」で知ったのですが。「品川心中」では、女郎・お染と心中することになった金蔵が、品川の海に突き落とされたものの遠浅だったため、死にそびれて…という形で話が進んでいきます。
そう、品川沖は遠浅の地の利を生かし、江戸前海苔の産地だったというわけです。お煎餅に海苔を巻いた海苔巻き煎餅は「品川巻」と呼ばれ古くから名物となっていますし、一説によると「鉄火巻き」のルーツも品川にあるのだとか。埋め立てが進んだ品川エリアですが、今でも江戸前の東京湾で海苔が生産されていたとは…。これは貴重なお土産になりそうです。
東海道新幹線「のぞみ」が品川駅に停車するようになって、すっかりその名が全国区になった品川。この年末年始は、江戸の歴史話と「しながわみやげ」を手土産に帰省するのもいいかもしれません。