地震 そのとき海の近くにいたら…津波対策を学ぶ
仕事で日本各地に伺うのですが、生来の方向音痴のせいなのでしょうか、海沿いの街にいても、実際に海が見えていないとどの方角が海なのかわからないことがよくあります。いきなり「海抜表示板」を目にして、ドキッとすることも。今ここで、この瞬間に地震が起きたら、一体、私はどこに逃げたらいいのか――。皆目見当もつかないことが多く、ぞっとします。
東日本大震災から5年。あの日私は、午前中行われていた神奈川県の消費生活審議会を終え、珍しくすぐに横浜から自宅のある東京に戻りました。そして、自宅のドアを開けた瞬間、あの大きな揺れ。もし、いつも通り昼食をとってから帰宅しようとしていたら、横浜で被災していたことになります。海からすぐの川沿いの街ですから、津波の心配もありました。きっと帰宅難民にもなったことでしょう。「知らない街」で被災した時、どう行動したらいいのか。「知らない街」に行く機会が多く、身近な問題でありながら、今も不安を抱えたままです。
そんな中、広報かまくら2016年3月1日号の津波対策特集は、海に接する街がどのような対策を立てているのかを知るいい機会になりました。都心に住んでいると、「津波」に対する教育機会はまずありませんから、こうした海の街の情報は助かります。地震でも特に長時間のゆっくりとした揺れが危険であること、揺れがなくても津波は起こること、情報を待たずすぐ行動することなど、具体的な心構えは特に参考になりました。
そして、もしも海沿いの「知らない街」で地震を感じたら…。速やかに津波浸水予想区域から高台へ避難。避難経路は、路面標示や案内板を見て…ということもわかりました。でも、まだ不安はぬぐえません。「知らない街」で、避難経路の路面標示や案内板をすぐ見つけることができるのか――。できたら、住民のみなさん、観光客や私のような方向音痴の来訪客のために、声をかけながら避難していただけないでしょうか。「こっちが高台だぞ!」とか「ついてこい!」とか。津波の懸念があるとき、そんな‟声かけ避難″をしていただけると、大いに心強いと思うのです。
改めて「知らない街」で自分が被災することを想像してみて、私もよく知っているわが街で避難する際には、‟声かけ避難″をしようと思いました。これから東京オリンピックに向けて、世界各国から多くの観光客が訪れることが予想されます。私の住む街は外国人観光客も多いので、英語で‟声かけ避難″が必要かもしれません。かなり恥ずかしいですが、その時は実行しようと思います。