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市の予算を家計簿に例えると?

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2016.04.11 広報なすしおばら 平成28年4月5日号(ナンバー271) 栃木県那須塩原市

4月になると、どの広報紙も年度の当初予算の概要を紹介しています。市民が税金の使い道を知ることは大事だということは重々承知しているのですが、難しい言葉、細かい数字の羅列に圧倒されて、正直、こうした予算の報告は見るのがツライ代物だったりします。

ところが、栃木県那須塩原市の『広報なすしおばら』平成28年4月5日号に掲載されていた市の予算は、なんともわかりやすい工夫がされていました。題して「市の予算を家計簿に例えると」。平成28 年度の市の一般会計予算を、月給30 万円のサラリーマン世帯に、“大胆に”例えてわかりやすくしてくれているのです。

“大胆に”というのは、例えば支出を「衣食住の生活費、車の購入費」「兄弟などへの援助、子どもの教育費など」「ローンの返済」と3つに分類するなど、そのカテゴリー化は実におおまか。誤解を恐れて、細部にこだわると、なかなかこうしたカテゴリー分けは難しいのですが。

私はファイナンシャルプランナーの端くれでもあるので、なすしおばら家の家計をじっくり診断してみようと思いました。収入に「貯金の取り崩し」「銀行からの借入金」があるのは、赤字家計であるということ。赤字を解消する方法は、収入を増やすか、支出を減らすかの二択です。収入、特にコントロールの利きやすい「給与収入」「パート収入」を増やすとなると、働き手(市民)の負担が増すことは間違いありません。ならば支出を減らそう…とみていくと――。ああ、まるで我が家の家計を見ているよう。もはや一人の主婦として、自然に細かい支出項目と支出額が気になってきます。なるほど。こうして、無味乾燥、複雑怪奇な予算に市民の関心を引き付けるのかと妙に納得です。なすしおばら家の大胆な家計簿公開には、市民に予算へ関心を持ってほしいという、広報担当の強い思いがあるのでしょう。

最後に、なすしおばら家のコメントが書いてありました。「銀行へのローンの返済(公債費)を行う一方で、銀行からの借入金を返済額以内に抑えたわ。子どもたちのために家の借入金(市債残高)をちょっとずつ減らしていくわよ」。ああ、これも我が家と同じ。がんばれ! なすしおばら家!

 

市の予算を家計簿に例えると?

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