みんなの「顔」が市民参加を促す⁉ 広告的手法を活かした広報紙づくり
消費者教育の一環として、私が好んで取り入れているワークショップに「広告分析」があります。広告には、消費者にとって必要な値段や商品に関する説明のほかに、私たちが無意識に買いたくなる“仕掛け”があるものです。こうした“仕掛け”を、広告の中から抽出し、分析することで、消費者としての目を鍛えようというわけです。
そうした“仕掛け”のひとつとして有名なのが「人の顔」の効果です。例えば「人の顔」の写真と、「きれいな景色」の写真が並べてあった場合、私たちの目は無意識のうちに「人の顔」に注目します。こうした特性を利用して、テレビCMにしてもチラシにしても、ただ商品そのものを説明するのではなく、そこにタレントや、その商品の「利用者」と想定される人を登場させ、商品を宣伝します。「人の顔」には、消費者の注目を集め、訴える力があるというわけです。
今回は、岡山県津山市の『広報津山』の、こうした「人の顔」の力を活かしている点に注目してみました。5月号の特集は「津山市第5次総合計画」についての告知なのですが、我が市といえども、市民にとって「総合計画」は興味をもって読むのがいささか難しいものです。しかし、『広報津山』 の「総合計画」を説明する紙面には、いたるところに「市民」の写真が登場。次々と登場する「人の顔」に注目しているうちに、「総合計画」を読み終えてしまう作りになっています。
また写真の吹き出しによって、「総合計画とはどんなもの?」とか「子育てしやすい環境になると、うれしいわ」といった言葉があるので、さながら読み手(市民)がそこにいて、ともに読み、ともに考えているようです。他人事となりがちな「総合計画」ですが、読むだけで“市民参加”しているような気になり、自然と我が事として考えさせられます。
広告の手法としては常識の「人の顔」の力を、上手に利用しての紙面作りはお見事! 私のワークショップでは、こうした手法を見抜く力を養うわけですが、上手な活用方法があったのですね、なるほど!という感じでした。
楽しい市民参加型の紙面は、マイ広報紙サイト上に、『広報津山』5月号の紙面PDFが掲載されていますから、ぜひそちらでご覧ください。