「往復はがき」での講座への参加申し込みには、ワケがある!
私の母は、今年83歳になります。今も父と二人、元気に故郷で暮らしていてくれるので助かっています。先日、母にその元気の秘訣を聞いたところ、答えは「お金のかからない趣味をもつこと」。母は60歳過ぎで突如、少林寺拳法を始め、今も地元の公民館で体を動かしています。そういえば、私には何の趣味もく…。50歳を目前に、目下、趣味を模索中なのですが。
そんな目で広報紙を眺めてみると、「お金のかからない趣味」になりそうな講座がたくさん掲載されています。例えば、神奈川県川崎市の『かわさき市政だより No.1149 2016年(平成28年)11月21日号(全市版)』には、「民家園ボランティア」や聴覚障碍者のためのボランティアができるようになる「要約筆記(文字通訳)入門講習会」などボランティア系から、「やさしい朗読入門」、歌が学べる「心に残る日本の歌」、「フラワーアレンジメント教室」…まであり、カルチャーセンター顔負けのラインナップです。
すっかり自分がいく気分になって読み込んでみると、あることに気が付きました。申し込み方法です。「講座などへの参加申し込み」として案内されていたのは、往復ハガキでの申し込み。そういえば、私はもう長いこと往復ハガキを目にしていません。今、よく利用する学会やシンポジウムの申し込みは、たいてい電子メールです。そのほうが、管理も簡単だろう…と思ったのですが。
しかし次の瞬間、浮かんで来たのは、メールの返しに1週間かかる母の顔。そうか。いろいろな方が申し込むのだから、当然、なかには電子メールに親しんでいない方もいらっしゃるわけで。昨今、IT化がさかんに叫ばれていますが、IT化すべき部分とすべきでない部分があるのだということを、改めて認識した次第です。
そう考えると、広報紙の「紙」としての意義も―少なくともデジタルネイティブ世代がお年寄りになるまでは―あるのかもしれません。