訪れてみたい…「金山住宅」の情緒ある街並み
『広報かねやま No.649 2017年1月6日号』で気になったのが、「オンリーワンな町のナンバーワンをさがせ!」という記事の中にあった“金山住宅”。“金山住宅”は、金山杉を活かした伝統ある住宅です。今回、新築の“金山住宅”が、金山町住宅建築コンクールで佳作を受賞したということです。
私はよく仕事で地方を訪れるのですが、そんな時はいつも心のどこかに緊張感があります。旅の情緒を楽しむというより、間違いなく時間内に到着できるかなど、仕事のことばかり気になってしまいます。そして結局、せっかく地方に行ったのに、どこに行ったのか、記憶があいまいになってしまうこともしばしばです。
それでも、時々、強烈な旅の思い出が残ることがあります。それは独特な街並みを見た時です。私は、どうしても有名な神社仏閣や、地元自慢の山や川よりも、街並みにその地方の個性を感じてしまうのです。
例えば、山口県柳井市の白壁の街。そこに名産の張り子でできた金魚の飾りが泳ぐ様子は、強烈な印象となって残っています。山陰地方で目にした家々は、石州瓦が陽にあたってきらめいていて、車窓から見とれてしまいました。石垣と石畳みの沖縄もしかり。どうしてこんなに街並みは印象に残るのだろう、と思います。その土地の歴史と文化と伝統が、生活の中で息づいていることを感じられるからなのでしょうか。
ただ、伝統的な家々は、老朽化によって保全が大変であったり、現代の暮らしにあっていなかったり…で、維持するのが難しいという話も耳にします。この記事によると、受賞したのは新築の“金山住宅”です。こうして伝統的な「新しい」住宅が加わることは、古き良き街並みを維持していくうえで、とても重要な方法なのかもしれません。金山町住宅建築コンクールでは、伝統技術の保持や街並み・周囲との調和のみならず、生活のしやすさなども審査基準となっているといいますから、現代にあった「新しい」金山住宅が誕生したのでしょう。
“金山住宅”のある街並みも、独特の風情があります。新旧の金山住宅が形づくる伝統ある街並みを、じっくり歩いてみたくなりました。