スマホに頼らない「子どもとの遊び方」を、保育士さんに教わろう!
娘が通っていた幼稚園には、保護者から「魔法使い」と呼ばれている先生がいらっしゃいました。保護者が初めて先生の「魔法」を見たのは入学式。人生初の集団生活を迎えるべく会場に集められた3歳児・約60人は、走り回る子、泣く子、飛び跳ねる子…といて、それはそれは大騒ぎでした。そこで登場したのが、件の「魔法使い」の先生です。先生はマイクの前に立つと、ゆったりした声で手遊び歌を歌い始められました。「キャベツの中から、青虫さんでたよ。にょき! にょき!」。先生が「にょき!」といって、指を立てると、急に静かになって、みんなじっと先生の指を見つめていて、それはもう魔法のようだったのです。
私たちは、その昔、確かに幼児だったのに、大人になると何に魅せられたのか、何が面白かったのかなんて、すっかり忘れてしまいます。ですから、親になったからといって、すぐに子どもと楽しさを共有し、遊ぶことはできないのです。子育て中、私も、あの「魔法」が使えたらと何度思ったことでしょう。
神奈川県横浜市の『広報よこはま金沢区版 平成29年6月号』に、保育園の園庭開放や子育てひろばの告知とともに載っていたのが、新たに始めたという「金沢区内の商業施設で保育士と遊ぼう!」という記事です。なんでも、地域の保育園の保育士が区内の商業施設に出張して、手遊びやパネルシアター、コーナー遊びなど、親子で楽しめるプログラムを用意してくれるのだとか。「魔法」の手遊びを教えてもらえるかもしれません。
今は「魔法」はすっかりスマートホンにとってかわられ、電車の中でも、子どもがぐずり出すと、さっとスマートホンを持たせて、親は隣で寝る…なんていう姿をよく見かけるようになりました。内閣府が2017年5月に発表した調査によると、2歳児のスマホ利用率は3割を超えています。
一方で、そうした電子機器の子どもたちへの影響を心配する声もあります。一般社団法人日本小児科医会では、「スマホに子守をさせないで!」という啓発ポスターを作成し、呼びかけています。
子育てをほぼ終えた私が思うのは、親が「魔法」を得ようと、じたばた悶えながら子どもの反応をみつつ、我が子のツボを探った経験は、それから子どもの進路を考えていく上でとても重要な基礎情報になったということ。加えて、なるべくテレビを見せまいと、代わりに読んであげてボロボロになった本は、反抗期の子どもを目の前にした時、それもまた成長なのだと思い起こさせてくれる、大切な糧となったことです。
文明の利器たる「スマホの魔法」ではない、親子で築き上げる遊びの「魔法」は、面倒でも、きっと得るものがあるはず。ぜひ若い保護者の方に、こうしたイベントを活用してほしいと思います。