街の景観を作る種まき? コラム「農業のちょっとしたコツ」
ここのところずっと、家で原稿を書いています。家にこもりがちな日常にあって、梅雨の晴れ間に近所を散歩することが、なによりの楽しみになっています。都心でも、裏道を歩くと、風情のある家並が楽しめるのです。
その風情を醸し出してくれているのが、軒先に所狭しと並べられた植木鉢の数々。ちょっと前はツツジの花が、そして今はアジサイが、家々の軒先にきれいに咲いていて、心を和ませてくれます。街並みというのは、一人一人の住民が築き上げていくものなのですね。
実は今回、広島県庄原市の『広報しょうばら 2017年6月号(NO.147)』のコラム「こうすりゃ~ええ農(のう) vol.3」を読んで、ふと近所の露地を思い出しました。
このコラムは、農業のちょっとしたコツを、市の営農指導員と地域おこし協力隊員が教えてくれる、というもの。「これだけは守りましょう!」という勘どころがしっかり書かれています。
例えば、キュウリは、土壌の水分が不足すると生育不良になるということ。その水やりも、一度に大量の水をやると根を傷めるので、土が完全に乾き切らないうちに少しずつ…など。なるほど、植物にはそれぞれ「育て方」あり、しかも子育てよろしく「ここを外してはいけない」というポイントがあるのですね。
農家の方々はすでにご存じのことだと思います。でも、庭やプランターで野菜作りに挑戦したいという人にとっては、プロが教えてくれるこのような情報は、とても役に立つことでしょう。そして、「こうすりゃ~ええ農(のう)」のコラムを読んだ市民が、いろいろなところで野菜を育てたら…。我が家の近所の露地のように緑にあふれ、いや実りにあふれ、庄原市の景観を美しく彩ってくれるに違いありません。このコラムは、緑の街をつくるための種まき…なのかもしれないと、しみじみ思ったのでした。
ところで、我が家は、家族いわく「不毛の地」。どんな植物も、なぜか1年ももたず枯れてしまうのです。きっと「こうすりゃ~ええ」という勘どころを外しているのでしょう。この春、我が家にやってきたローズマリーとオリーブの育て方もお願いしたい気分です。