家族で話題にしよう! 悪質商法
先日、ある地方の高校に伺い、PTAの方々に「子どもへの消費者教育」についてお話をさせていただきました。多くの生徒が18歳で家を出て、都心エリアで一人暮らしを始めるという土地柄もあり、大変熱心に耳を傾けてくださいました。
愛媛県久万高原町の広報紙『広報久万高原 2017年6月号』には、ちょうど進学や就職などで、親元を離れた子どもへの注意喚起の記事「悪質商法には注意しましょう!」が、掲載されていました。
まさか悪質商法にひっかかるなんて…と思いがちですが、油断は禁物です。記事で紹介されていたのは、インターネット通販で入金したのにもかかわらず品物が届かないケースや、痩身エステで長時間の勧誘を受け契約してしまったケース。いろいろな情報を得るのが得意なはずの若い人たちも、決して無縁ではないのです。
私は、大学のゼミで学生さんたちとお話をすることもあるのですが、そこでも、ひやっとする経験談に出くわすこともあります。
例えば、「サークルの先輩にDVDを紹介されて、買ったのだけれど、まったく使えなかった」、「友達に痩せるという健康食品を勧められて困っている」など。成人として扱われ、契約できるようになる20歳の誕生日を狙ったかのように、誕生日過ぎから、いろいろな「お誘い」がくるようです。また、初めての一人暮らしで心細いときには、優しくしてくれる人の「誘い」にのってしまいがちでもあります。
悪質商法にひっかからないためには、いつでも相談できる人間関係を維持すること、よい面ばかり見ず、批判的な思考力をもつこと、何事も即決しないような慎重さを身につけること…などが必要です。どれも一朝一夕にできることではなく、家庭での長く、地道な教育が必要なものばかりです。
冒頭でお話しした高校のPTAの方々には、少なくとも「家にいる間に、なるべく世間話の中で『悪質商法』の話をしてください」ということをお願いしました。悪質商法は次から次へと手を変え、品を変え…といった感じですから、まさにイタチごっこではあるのですが、それでもさまざまな事例を知ることは予防になります。
子どもがいなくても、広報紙やテレビなどで新手の悪質商法を知ったら、「怖いねえ」とか「気をつけなくちゃね」などのつぶやきを、ぜひ日常生活の中でしてみてください。お互いにいろいろな悪質商法の情報を共有していれば、いつか誰かの被害を未然に防ぐことができるかもしれません。