特集「子ども読書の日」を見て、考えたこと
マイ広報紙のサイトに、「子ども読書の日」の特集が組まれていました。「子ども読書の日」は、2002年に施行された「子どもの読書活動推進に関する法律」のなかで制定されたもの。特集「子ども読書の日」を見てみると、各自治体が、この日の前後にさまざまな催しをおこなっていることがわかります。
法律ができるほど、子どもたちの読書離れは進んでいるようです。この10年は特に、著しくインターネットが普及しました。読書は重い本を開き、無機質な活字を読み、頭の中でそれを組み立てたり、映像化していったりする作業が必要ですが、インターネット上に用意されている画像や動画は、こうした作業の負荷を軽減してくれます。読み聞かせのように、親が本に書かれている活字情報を音声化し、また子どもがその音声を自身の中で組み立てるなどということをする必要はありません。インターネットテレビの子ども向けアニメ番組を利用すれば、いつでもどこでも、音も動きも加わった、より魅力的な形で物語の世界を味わうことができます。
また、YouTubeや最近話題のTik Tokなどのアプリにアップされた動画は、短かい時間でストーリーを語ることが得意です。こうしたアプリは、見るだけでなく、自身も参加し、架空の物語に参加することまで可能にしてしまいました。
インターネットの世界は、とても魅力的です。しかし、当たり前のことですが、人には1日24時間しか与えられていません。余暇の時間の多くがインターネットに占められてしまうと、自ずと読書の時間を減らさざるを得ません。国立青少年教育振興機構の報告書には、就学前から中学時代までに読書活動が多いほど、「社会性」、「自己肯定」、「意欲・関心」、「論理的思考」などの意識・能力が高くなることが報告されていました。0歳児の20%がほぼ毎日スマートフォンで動画や写真を見ているという衝撃の調査結果も出ている今。読書の魅力を伝える『子ども読書の日』をどう展開するか、各自治体は手腕の見せどころといったところでしょうか。
マイ広報紙の「子ども読書の日」の特集には、福岡県田川市の『広報たがわ 平成30年4月1日号』の「ブックスタート」の取り組みなどが紹介されていました。「ブックスタート」は、赤ちゃんのいる家庭に絵本やおすすめ図書リストなどをプレゼントして、本に親しんでもらうという活動です。また、ほかにも読み聞かせと工作教室を組み合わせるなど、各自治体のさまざまな取り組みが紹介されています。デジタルネイティブ世代が親になる時代。各自治体のご当者には、読書のライバル「インターネット」をうまく利用して情報を収集し、子どもたちが読書にも親しめるよう、策を練っていただけたらと思います。