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モノへの愛を育む…モノづくりの現場を見学してみよう

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2018.04.30 あらかわ区報 平成30年4月21日号 東京都荒川区

 東京都荒川区の『あらかわ区報 平成30年4月21日号』に「モノづくりの現場等を公開してみませんか」という記事を見つけました。「モノづくり」の現場の見学や体験ができる作業所や店舗などを広く募集するというものです。そこで思い出したのが、我が家のランドセルにまつわるエピソードです。

 息子は小さかったころ、とにかくモノを乱暴に扱う子でした。幼稚園バッグをポーンと投げたり、踏んでしまったりといったことは日常茶飯事。しかしよく息子の様子を観察してみると、お弁当のときに使う布袋やコップ袋は、丁寧に手で伸ばして自分のタンスにしまうなど、なにやら大切に扱っているのです。その布袋は、祖母のお手製。祖母の手で、1枚の布から次第に出来上がっていく様子を、目を丸くして見ていたものだったのです。

 きれいに出来上がってお店に陳列されたモノから、それが誰かが(たとえ機械の手を借りたとしても)一生懸命作ったモノであるということを想像するのは難しいものです。しかし、そのモノができる過程に目を向けたとき、子どもは、あたりまえのように前にあるモノが、誰かの思いが込められたモノであり、ありがたいモノであるのことに気付くのかもしれません。

 そんなこともあり、小学校入学にあたりランドセルを買う際、インターネットで調べて、我が家の隣の区にある「ランドセル工房」に行き、そこで購入することにしました。営業時間内であれば工房見学OK.。普通の家の部屋のようなところに、所狭しとランドセルの部品が並んでいる工房にお邪魔すると、職人の方が「これはね、当たっても痛くないように、おじさんが考えた金具だよ」などと説明してくれました。既に購入したことを告げると「ランドセルが壊れたら、いつでも持っておいで。おじさんが直してあげるから。でも、おいそれとは壊れないけどな」と、どこか誇らしげにおっしゃいました。工房からランドセルを抱えて帰った息子。それは6年間大切に使われ、壊れることもなく任務を終えました。

 幼児の子どもをもつ保護者の方から、「モノの大切さを教えるにはどうしたらいい?」という質問があるたびに、このエピソードをお話しします。記事によると、すでに荒川区に「モノづくり見学・体験スポット」として認定された31か所のスポットを紹介する「モノづくり見学・体験スポットガイドブック」が、区役所1階総合案内、都庁観光情報センターなどで配布されているほか、HPからダウンロードもできるといいます。ぜひこういう場所を、ご活用いただければと思います。

 また今回記事で募集された「モノづくり」の現場の見学や体験ができる作業所や店舗等は、「モノづくり見学・体験スポット」として認定されると、必要な施設改修費等の整備にかかった費用を一部補助してくれるそうです。一般の人が訪れることができる「モノづくり」の現場が多くなることを期待しています。

 

モノづくりの現場等を公開してみませんか

〒104-0061 東京都中央区銀座3-4-1 大倉別館ビル5階

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