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市民後見人制度とは…「〈特集1〉このまちで自分らしく生きていく」から

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2018.07.16 広報しき 平成30年7月号 埼玉県志木市

 埼玉県志木市の広報紙「広報しき 平成30年7月号」の「〈特集1〉このまちで自分らしく生きていく」に、市民後見人制度について書かれていました。

 後見人制度は、認知症や障がいなどで、財産の管理や契約が十分な判断のもとにおこなえない可能性がある場合、本人の「財産」や「権利」を守るために後見人が支援する制度です。後見人は、通常、家庭裁判所で選任された家族や弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職がなるのですが、一般市民でも養成講座を受講し、家庭裁判所から選任されると「市民後見人」になることができます。市民後見人が支援する内容は、基本的に専門職後見人と変わりませんが、複雑な法律問題や係争がなく、弁護士や司法書士といった法律専門職でなくても、対応できるものを引き受けることになります。

 志木市では、地域の中で人の役に立ちたいとの思いから、すでに5人の市民後見人が活躍し、県内最多となっているといいます。こうした市民後見人の誕生の背景には、生活に、より一層密着したフォローができる市民への期待のほか、高齢化への懸念があります。志木市では、75歳以上の高齢者人口は、2015年から2025年の10年で約50%増加すると推計されています。多くの人が、後見人を必要とする社会がもう目の前にきているというわけです。

 一方で、私たちの生活は、年々「契約」が複雑、かつ重要になってきています。インターネットを介した売買契約は、契約をしたという意識をもつことが難しく、また同時に情報スキルにも関わってくるからです。こうした背景から、2020年から完全実施される小学校の新学習指導要領では、家庭科で「売買契約の基礎」を学ぶことになりました。

 また成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる改正民法も、2022年4月1日に施行されます。これは、未成年契約による取り消しが18歳をもってできなくなることを意味していて、より「契約」への意識を高める必要がでてきています。

 契約社会においては、若い人も、高齢者も、障がいがあっても、「契約」を避けて通ることができません。地域の人の契約によるトラブルを、自分自身が「市民後見人」として見守ったり、身の回りの人にこうした制度があることを積極的に伝えたりすることが、今後ますます重要になってくるでしょう。

 

〈特集1〉このまちで自分らしく生きていく

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