文字サイズ
自治体の皆さまへ

東京で感じる季節の移り変わり…小平の麦まき締まい

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2018.11.12 市報こだいら 平成30年11月5日号 東京都小平市

 秋は収穫の季節。各地の広報紙の表紙も、その地域の特産品の写真で彩られていて、実りの秋を感じさせてくれています。

 そうした中で目に留まったのが、東京都小平市の広報紙『市報こだいら 平成30年11月5日号』です。「麦まきの秋」と題した記事に、収穫を喜ぶ秋の風景とは正反対の、ただ茶色く広がる畑に種を蒔く人の写真が掲載されています。

 小平市は、東京都の多摩地域北部にある市で、都庁のある新宿から電車で30分程度です。そんな小平市で麦が育てられているとは! それに東京は「うどん」より「蕎麦」がよく食べられる文化圏というイメージが強く、「うどん」の原料である麦が作られていたことに驚きを感じました。そして、農家の方には笑われてしまうかもしれないのですが、秋に種まくというのも…。

 記事によると、昭和初期ごろまでの小平は農村地帯で、多くの農家で麦を作っていたとのこと。そして、その小麦から作る「うどん」は、ご馳走であったといいます。東京=蕎麦圏というのは、どうやら私の思い込みだったようです。昭和30年代ごろからは、作物がうどや果物に変わり、宅地化も進み、今では市内で麦を作る農家は少なくなったといいます。

 麦はさつまいも収穫後の畑に種を蒔き、さつまいもは5月に麦の間に苗を植えて10月に収穫します。ですから、10月から11月はサツマイモを収穫した後、さつまいもの“つる”や根が多く残る畑を耕し、種をまかなくてはいけません。しかも寒い時期に麦をまくと実の入りが悪くなるため、麦まきは時間との戦い。忙しい日々を終え、麦まきを終了した日にはみんなで労をねぎらい、「うどん」を作って食べたといいます。

 今では、麦を育てる農家が減ってしまったということで、「小平ふるさと村麦まき日待ち秋のまつり」を開催し、伝統を受け継いでいます。今年も11月17日(土)に開催され、人々が集まって会食や余興を行った「日待ち」の行事を再現し、手打ちうどんの実演や試食、水車を使った製粉作業、紙芝居の実演が行われるようです。

 東京で地元産の「うどん」が食べられるとは…。同じ東京都内に住みながらも、いろいろ知らないことが多いものですね。今回も、新たな発見がありました。

 

麦まきの秋

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU