春だ! 公共交通で出かけよう!
桜の開花前線の北上とともに、いよいよ日本全国、行楽シーズンの到来です。北海道岩見沢市の広報紙『広報いわみざわ 2019年4月号』では、「公共交通で出かけよう!」というタイトルで、JR室蘭線沿線自治体のイベントを紹介していました。
この記事に添えられている「公共交通を利用して出かけませんか?」という呼びかけを読み、2019年3月31日をもって廃止になった北海道夕張市を走るJR石勝線夕張支線を思い出しました。
人口減少・高齢化を背景にした経営悪化で、今、JR北海道は路線の見直しを余儀なくされています。夕張支線はJR北海道が「単独では維持困難」と表明している13線区のうち、実際に廃止・バス転換された初めての路線。廃線前の「お別れ乗車」が、どの便も軒並み満員だったと聞くと、なんとも惜しい気がしてなりません。
廃線となる前に、なんとか人を集められないものか―。「公共交通で出かけよう!」という記事の背景に、そんな切実な願いを感じました。
地方公共交通の維持が難しくなってきたのは、なにも北海道だけではありません。3月下旬にJR四国は、瀬戸大橋を渡る本四備讃線を除く全線区が赤字だと発表しました。経営が悪化しているのはバスも同じです。
我が家には自家用車がないので、移動の際、私はいつも公共交通機関を利用するのですが、都心の真ん中を運航しているにも関わらず、ガラガラの都バスに乗ることがたびたびあります。ただ、そんなガラガラのバス路線のなかには、本数が少なすぎるために当てにすることができず、乗客が少ないのでは?と思える路線もあり、残念だったりします。乗降人数のデータからは見えてこない、細かい事情が利用者にはあるものです。
利用者のことは、利用者がいちばんよく知っています。鉄道だけでなく、地方交通全般をどう維持していくべきなのかを問われている今。手遅れになる前に、利用者である住民も含む多くの人の知恵で、公共交通機関を維持する方法を、その地域ごとに模索していく必要があるように思います。
仕事で地方に出かけ、その土地の電車やバスに乗ると、地域の多様性を身近に感じ、なんとも楽しく、豊かな気分になります。こうした体験の機会を出来る限り残していきたいと思うのは、贅沢なことでしょうか…。