木曽漆器と暮らす
平成から令和へ。広報紙を見てみると、西暦を採用している自治体と、早くも「令和元年」として5月号を発行している自治体があるのですね。今回ご紹介するのは、令和元年5月号『広報しおじり』(長野県塩尻市)の記事からです。
同号の巻頭記事は、「木曽漆器と暮らす」。木曽漆器は450有余年の歴史があるといわれている国の伝統的工芸品です。明治初頭、市内の奈良井で、漆器づくりの下地材として優れた「錆土(さびつち)」が発見されると急速に発展。堆朱塗りや塗分呂色塗りなど、さまざまな漆工技術が開発され、日常生活で使用される製品を中心に発展したといいます。
記事には、実際に木曽漆器の食器を日常の食卓に用いているご一家の様子が紹介されていました。市外から転入したとき、転入者向けに市から地場産品がプレゼントされる制度を利用したことが、木曽漆器に出合ったきかっけだといいます。伝統をともに引き継いでいってほしい…そんな市の思いが伝わったかのように、木曽漆器は小さなお子さんに使われています。令和時代に育つお子さんも、時代を経て伝わる木曽漆器のバトンをしっかり握ってくれたようです。
また、数多くの漆器が作られる漆工町「木曽平沢」に住む、漆器製作に携わる親子のインタビューも掲載されていました。曰く「全国的に見ても、木曽平沢ほど職人の店が一カ所に集中している産地はありません。いくつもの職人の工房やお店を短時間で回り、漆器について話したり、体験したりできる珍しい場所なので、ぜひきていただきたい」。工房見学や体験講座などもおこなっているといいます。今どきの伝統工芸は、「見る」「買う」だけではなく、「体験する」こともできるのですね。
改元や10連休で盛り上がっている昨今。連休が終われば、夏休みの計画のスタートです。故きを温(たづ)ねて新しきを知る。令和最初の夏休みは、「木曽平沢」を訪ねてみるのもよいかもしれません。