市民を主体とした食育を推進…「なごや食育応援隊」
愛知県名古屋市の『広報なごや 令和元年6月号』の巻頭特集に「6月は食育月間です 盛り上げよう!名古屋の食育」という記事を見つけました。「食育」という言葉を、一度は耳にしたことがあるかと思います。「食育」とは「健康な食生活を送るために食品選択や安全性、表示の仕組み、さらには農業との関係を学ぶこと」(朝日新聞社の「知恵蔵」より)。子どもだけでなく、消費者全体が対象になります。平成17年には食育基本法が制定され、家庭、学校、保育所、地域その他の社会のあらゆるところで、「食育」に参加、協力することが期待されるようになりました。
「食」は、極めて個人的な行為です。それなのに、このような法律の中で「伝統的な食文化」や「食に関する感謝」が基本理念として謳われるとなると、天邪鬼な私は「何をどんな気持ちで食べるかは自由でしょ!」と斜に構えたくなってしまいます。しかし「バランスの取れた食事」や「地産地消の推進」といったことは、確かに大切なこと。私のようなお仕着せが嫌いな人には、上からではなく、市民の活動の中から自然に涵養されていくことが重要なのかもしれません。
名古屋市では「なごや食育応援隊」を募集することで、市民を主体とした社会全体の運動としての食育を推進しています。市民による、市民を対象とした食育の活動、というわけです。
記事にも紹介されていたサイト「なごや食育ひろば」(http://www.kenko-shokuiku.city.nagoya.jp/)には、個人、企業、団体などの「なごや食育応援隊」の隊員が紹介されていました。隊員は、栄養学科を卒業した方や管理栄養士などの資格があるなど専門知識のある個人、お父さんが休日に食を通じて子どもと関わりながら「食」について学ぶ場を提供するといった団体、また食にかかわる企業…とさまざまです。
行事等で「なごや食育応援隊」に講座を依頼したいときには、依頼したい隊員を選び、市の健康増進課に提出すると、連絡をとってくれるとのこと。学びたい市民と教えてくれる市民の間を、名古屋市が取り持ってくれる…という仕組みです。
依頼は原則無償で、大変ありがたいものですが、まず依頼側の市民が自ら動き、学びの場を作らなければ、せっかくの「食育」の仕組みは動き出しません。「食育」が本当に意味で定着するかどうかは、私たち市民の学びへの意欲と行動力にかかっているといえるのかもしれません。