この浜が世界の海とつながっている…という想像力を持つ
東京都江戸川区の広報紙『広報えどがわ令和元年6月20日号』の一面には、「葛西の浜が世界の海とつながっているんだもんなぁ」という言葉とともに、海外からの視察団が「えどがわエコセンター」を訪れたことが報じられていました。
訪れたのは、太平洋ミクロネシア地域のパラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦の3カ国の政府職員など。「日本一のエコタウン」を目指す江戸川区は「えどがわエコセンター」が中心になって、葛西海浜公園での漂着ごみのクリーン作戦やプラスチックごみの海洋汚染に関する啓発活動などを行っています。こうした日本の先進事例を視察したり、意見交換をされたりされたようです。
3カ国では、温暖化による海面上昇のほか、プラスチックごみが深刻な社会問題になっているといいます。日本における1人当たりのパッケージ用プラスチックごみの発生量は、実はアメリカに次いで世界で第2位です。
これまで日本のプラスチックごみは、リサイクルなどの名目で海外輸出に依存してきました。しかし国連環境計画(UNEP)の会議で、プラスチック廃棄物の輸出を制限するバーゼル条約の改正案が合意に至り、汚れたプラスチック廃棄物は、輸入国政府の同意がないと輸出ができないことに。中国や東南アジア諸国は相次いで輸入制限を導入してきており、いよいよ私たちが出すプラスチックごみの行き場がなくなってきました。
プラスチック製品は、安くて軽く、便利です。使う時には、後のことまで考えずに、その便利さにすがってしまいます。しかし容易に分解されないプラスチックごみは、海洋にも流れ出し、多くの生物を傷つけ、死にいたらしめているのです。私たちには、こうした事態を考える「想像力」が必要なのだと改めて思います。
記事に「ミクロネシア諸国は、葛西の浜から太平洋を挟む隣人」と書かれていました。日常生活で隣の家の庭にゴミを捨てする人はいません。しかし夏の海水浴場には、よく日焼け止めのプラスチックボトルやペットボトルなどがポイ捨てされているのが現状です。
「葛西の浜から太平洋を挟む隣人」に来てもらうということは、こうした矛盾に気付くよい機会にもなります。プラスチックに入った冷たい飲み物、氷、アイス…が食べたくなる夏を前に、身が引き締まる記事でした。