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新たな支え合い活動として定着するか⁉ 市民後見人

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2019.09.09 広報うえのはら 2019年9月号 山梨県上野原市

 山梨県上野原市の広報紙『広報うえのはら 2019年9月号』の特集は、「市民後見人活動に注目!」です。上野原市が今年度から支援を始めたという、耳慣れない「市民後見人」とは一体、どんなものなのでしょうか。

 記事には「市民後見人活動は、身近な生活圏域における支え合いの活動として、成年後見人活動に『地域福祉』『市民参画』の視点をもって取り組む活動」とあります。

 ここでまた、「成年後見人」という難しい言葉が出てきます。「成年後見人」とは、判断能力が不十分で契約などの法律行為を行えない人に対し、必要な契約等を締結や財産の管理などをして本人の保護を図る代理人のことです。 以前は、判断能力が不十分な方は「禁治産者」として、財産管理などが制限されてきました。しかし、すべての人が家庭や地域社会で暮らせる社会にしようというノーマライゼーションという考え方のもと、自己決定の尊重と本人の財産と権利を守るために、平成12年の介護保険制度とともに「成年後見人制度」がスタートしました。

 「成年後見人」には特別な資格はなく、親族をはじめ、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)や地域の市民などがなることができますが、近年、選任されているのは専門職(弁護士や司法書士など)が多く、2018年には68%を占めています。しかし、今後一人暮らしや認知症の齢者の増加や障がい者の地域生活への移行などで、ニーズは高まると考えられており、新たな担い手として、市民後見人が注目されているというわけです。上野原市では、市民に関心を持ってもらおうと、講演会も企画しています。

 成年後見人としての仕事は、預貯金の管理・解約や施設入所等のため介護保険契約…など。特別な資格は必要ないとはいえ、知識、技術、姿勢などを身につける必要がありますし、責任も重いものです。一方で、基本的に市民後見人には「給料」に該当するものは定められていません。市民の善意と情熱と愛に頼っているというわけです。

 こうした無償の善意を前提とした制度が、市民活動として定着していくのか、または普及せずに終わるのか…。投げられたボールをどう返すのかは、私たち市民にゆだねられています。

 

市民後見人活動に注目!

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