「児童発達支援センター」を4ページで特集する意味
今回、ご紹介するのは、大阪府豊中市の広報紙『広報とよなか 2019年(令和元年)12月号』です。この号には、「自分らしさを育む 児童発達支援センター」という記事が4ページにわたり掲載されていました。
この「児童発達支援センター」という名称は、まだあまり馴染みがないかもしれません。2012年度の児童福祉法改正によって、これまで障害種別ごとに分かれていた障害児施設・事業を、複数の障害に対応できるように一元化した、比較的歴史の浅いものだからです。
豊中市は2019年4月に、発達に課題や障害がある子どもたちへの総合的な支援を充実するため「児童発達支援センター」を開設したそうです。同センターは、多様化する子どもの発達特性に専門的な見地から対応するために、相談窓口と専門医がいる診療所も設置。障害福祉センターひまわりや専門医療機関などとも連携して、一人一人の発達、成長に応じ、切れ目のない支援を行っていくといいます。
こうした施設は、ともすると「自分には関係のないもの」として、素通りしてしまいがちです。広報も、直接関わりのある人に伝えればよいと感じるかもしれません。
しかし、それでは「共生社会」とはいえないのではないでしょうか。それでなくてもちょっと子どもが泣いているだけで、白い目で見られるのが、今の社会です。こうした記事に目を止め、立ち止まり、さまざまな立場の人に思いを馳せることは、とても大事なことではないかと思います。子どもの成長や発達に気がかりなことがあったり、心配になったりする保護者がいて、そしてそうした不安に応えるサポートや取り組みあり、そしてそこには笑顔の職員がいる…。こうした事実を知ることは、いろいろな人がいてこその社会であるという理解力と想像力と、そして思いやりと共感の心を私たちに与えてくれるはずです。
豊中市が4ページにわたり、写真をふんだんに使って「児童発達支援センター」の特集をしたことは、とても意義深いのではないかと考えています。