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双葉町にみる「希望」の種 広報紙の役割とは

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2020.02.24 広報ふたば 2020年2月 災害版 No.105 福島県双葉町

あの東日本大震災から、間もなく9年。今、現地がどうなっているかという報道は、月日を経るごとに減ってきています。そうした中、広報紙は、今、どこで、どのように復興への歩みを進めているのか教えてくれる、貴重な存在です。

福島県双葉町の広報紙『広報ふたば 2020年2月 災害版』にはJR常磐線が今年3月14日に全線開通することになったということが報じられていました。また市長の話からは、「働く拠点」としている中野地区復興産業拠点の中核である産業交流センターが夏ごろのオープンを目指していること、「住む拠点」としているJR双葉駅西側地区一団地形成事業も令和4年春頃の居住開始を目指して整備が進められていることがわかりました。

また読んでいて何よりうれしかったのは、双葉町成人式について書かれた記事です。双葉郡に出来た「ふたば未来学園」を卒業した新成人は、在学中、多くの著名人の講義を受けたり、双葉郡をどうすれば復興できるかなど研究を行ったり、地元について考える機会ができてよかったと話し、将来は理学療法士になって、地元に帰って町のために働きたいと語ってくれています。

マイ広報紙にコラムを書くようになって、各地の広報紙を読むようになりました。少子高齢化、そして地方の衰退がさかんに言われる昨今にあって、私は各地の広報紙に「希望」を見出してきたような気がします。そこには地域おこしのための工夫や知恵、若い人たちの地元への愛がありました。また行政から市民へ協働を求めたり、逆に市民が行政へ働きかけたりと、新しい市民参加の街づくりへの可能性を感じさせてくれることもありました。広報紙というメディアは、そうした「希望」の種を映していました。

またマイ広報紙のように、どこにいても、いつでも各地の広報紙が読めるという環境は、さまざまな地域で取り組まれている諸問題を克服する知恵を共有できるだけでなく、マスメディアが報じない地方の今を垣間見ることを可能にしていることに気付くこともできました。

コラムが終了することがわかってから、私はずっと東日本大震災の被災地の広報紙を取り上げてきました。「希望」の種が、より多く蒔かれているのが、未曽有の災害の痛手を大きく受けた被災地である気がしてならないからです。

そこに住む市民(residents)が、地域にコミットする市民(citizens)となって、各地から新たな日本を作っていく…。そんな来るべき未来にむけて、広報紙が「希望」の種を蒔き、その収穫を報じ、より強い絆で市民と地域を結ぶ役割を果たしていくことを願っています。

 

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