紙と電子のハイブリッド化が進む商品券事業、プレミアム率900%の自治体も
新型コロナウイルス感染症によって疲弊する地域経済の活性化のために、多くの自治体でプレミアム付き商品券が発行されています。また、自治体DXやEBPM、デジタル田園都市国家構想などデジタル化の流れの中で、商品券事業の電子化や電子地域通貨の導入も進みつつあります。
そこで、全国950超の自治体広報紙をテキストデータ化して配信している『マイ広報紙』の運営事務局を担う株式会社VOTEFORでは、昨年に引き続きプレミアム付き商品券の発行状況を調査するため、全国1788の自治体を対象に、2月15日から3月15日にかけてアンケート調査を行い、456の自治体から回答を得ました。
<調査方法>
調査対象:全国47都道府県、1,741市区町村
調査手法:郵送及び電子メールによる案内、FAX及び電子メール並びにwebフォームによる回答
調査期間:2022年2月15日~3月15日
回収状況:有効回答数456件
456自治体のうち、過去1年以内にプレミアム付き商品券を発行した自治体数は323(70.83%)で、発行していない自治体数133(29.17%)を大きく上回りましたが、1年前の前回調査(2021年1~2月、406自治体回答)と比較すると実施率は76.85%から約6ポイント減少しました。
また、発行実績のある323自治体のうち、発行形態が「紙の商品券」は285(88.24%)、「電子商品券」は11(3.41%)、「紙と電子両方」は27(8.36%)と、まだ多くの自治体が紙の商品券による発行であると回答しました。
こちらも前回調査と比較してみると、「電子商品券」は2.24%から3.41%で約1ポイントの微増でしたが、「紙と電子両方」は2.88%から8.36%へと3倍近くに増えていることが分かりました。
さらに今後1年の発行予定を尋ねたところ、3月議会前だったこともあり半数以上の260自治体が「未定」と回答しましたが、発行の予定「あり」と回答した自治体111(24.18%)のうち「紙」は98(77.78%)、「電子」は5(3.97%)、「紙と電子両方」は23(18.25%)となり、紙と電子両方で発行する割合が増えていることがうかがえました。
なお、消費動向に大きく影響するプレミアム率については、平均値で約25%と前年よりもやや高めの設定が多く、50%や100%、中には900%(1,000円で10,000円相当)といった自治体もありました。
また、マイナンバーカード取得者やワクチン接種者を対象に限定販売したりクーポン券を配布するケースもあり、自治体ごとに様々な工夫が見られました。
運営面では、商品券の予約や受け渡し、事業者側の換金の手間といった課題から、事務局を請け負うことの多い商工会等でも電子化への関心は高まっていますが、電子機器の利用に慣れていない住民への配慮から検討が進んでいない自治体も多く見受けられました。住民の理解と協力を得られることのできる仕組みづくりが求められています。