「家庭ごみ有料化制度開始」で考えたいこと
平成30年2月1日から家庭ごみ有料化制度を開始するとの記事が、石川県金沢市の広報紙「いいね 金沢」に掲載されていました。
今、全国の自治体で家庭ごみの有料化が進められています。「ごみを出すのに、お金がかかるなんて…」と、愚痴のひとつも言いたくなりますが、有料化は避けて通れない道なのかもしれません。最終処分場に使用できる土地は限られていますから、ごみの減量は必須。有料化ともなれば、皆ごみの減量に努めるだろう…というわけです。
有料化によってごみの量が減れば、処理にかかる費用をおさえることもできますし、もちろん有料化で集められたお金はごみの処理費用に充てることもできます。
ごみの有料化の影響は、それだけではありません。「ごみを減らそう」という意識からリサイクルが推進され、資源を有効活用できる…ということも考えられるでしょう。
また、減量する人としない人との公平化を図ることもできます。一生懸命にごみの減量に努め、みんなの将来に貢献しても、その成果を目にすることは難しいものです。しかし、有料化は自分が出す量に応じてお金が必要になるというわけですから、普段から減量につとめている人は出費が少なくてすみ、やりがいも出てきます。一方、努力しない人は出費がかさむということで、自らに跳ね返ってきます。
さらには、消費スタイルの変化も促進することになるかもしれません。ごみを少なくすることで支出を抑えられるとなれば、消費者は「すぐにごみにならないもの」「長期間使えるもの」「リサイクルできるもの」を買うようになるでしょう。こうしたことから、企業も、ごみにならないもの、リサイクルを重視したものを生産するようになるということも期待できます。
こうして並べてみると、有料化やむなし…という思いも湧いてくることでしょう。しかし、山谷修作 東洋大学経済学部教授のサイトによると、全国市区町村の家庭ごみ有料化実施状況(2017 年 10 月現在)は、63.5%。国全体の施策の方針として、一般廃棄物処理の有料化を推進すべきと明確化されたのが2005年ですから、10年以上たってもまだ道半ばというところでしょうか。
自分の住んでいない地域のこと、まだ見ぬ未来に暮らす人々のことを考えて行動するのは難しいもの。持続可能な社会の実現には、こうした経済的インセンティブの力も必要なのかもしれません。