学びたい 気分を盛り上げる広報紙の作り方
今回紹介したいのは、静岡県静岡市の広報紙『広報しずおか 静岡気分平成30年4月号』。生き生きとした紙面がとても気に入ってしまいました。
まず目に留まったのが、マイ広報紙の見出しで挙げられていた「平成30年度の予算は… 第3次総合計画 後期4年につなぐポジティブ予算 1」という表現です。難しい予算を「ポジティブ予算」と表わし、「今年の予算はココがポジティブ」と導いて解説してくれています。また「ポジティブ予算」という言葉だけが先行してしまわないように、重点的に予算配分をした「5大構想」について詳細に解説。歴史文化の拠点づくり、海洋文化の拠点づくり、まちは劇場…など、わくわくしてしまう構想が語られていきます。
この言葉選びや展開の仕方に魅せられて、PDF版でも記事を確認してみると、春らしいさわやかなランニング風景の表紙写真は、「5大構想」の一つ「健康長寿のまちの推進」そのものを表現しているよう。また、予算の記事は、漫画や色を上手に使うことで、ビジュアルもまた、内容の理解を大いに助けてくれるものとなっていました。
私たちは、市民として、行政について知っておく必要があります。それはただ行政サービスを受ける側としてでなはく、選挙を通して、また様々な場面での市民参加を通して関わっていくために必要な情報だからです。その行政の情報の根幹にあるのが「予算」です。何を重要と考え、何を目指して自治体が運営されていくのかが、数字でダイレクトにわかるからです。
しかし昨今は、どの自治体も予算は厳しく、少子化、高齢化、財源の縮小…といったマイナスなワードが並び、見る側も「見たくない」心理が働きがちです。客観的な状況を見れば、静岡市もこうした状況は変わりないようです。この記事でも、「静岡市、人口推計70万人を割る!若者の流出が原因か?」と触れられていました。が、この記事は、ひたすら「ポジティブ」に夢を実現するための計画を語っていきます。経済は感情で動く…というのは、最近の行動経済学からの知見ですが、こうした「ポジティブ」な予算の提示は、市民の心を明るくし、また活気を生むのではないでしょうか。
この静岡市の「ポジティブ予算」のわかりやすさは、諸問題を解決するために何をどうするのかを明確に考えているからこそ。明確でなければ、「わかりやすく」もできませんし、そこにポジティブな活気を生み出すこともできません。この目を引く「予算」記事は自信の表れ…なのかもしれません。