小牧宿を見守る 屋根神様
近年のパワースポットブームや、神社やお寺を巡り御朱印を集める「御朱印ガール」の出現で、神社仏閣が多くある我が家の近所にも、休日になると若い人が多く訪れるようになりました。「〇〇寺はどこですか?」などと聞かれることもあるのですが、近所とはいえ、意外にお寺の名前や、ましてや来歴など把握しておらず、戸惑うこともしばしば。地元のことをよく知っておかなければいけない、と思っていた矢先に、愛知県小牧市の『広報こまき 平成30年6月1日号』の記事を目にしました。
掲載されていたのは、「特集 屋根神様 小牧宿を見守りおよそ200年」というボリュームのある記事。ああ、小牧市は、こうして地元の歴史を広く市民に知らせているのだなと感心しながら、読み進めました。
「屋根神様」。関東生まれ、関東育ちの私は、まったく知らなかったのですが、愛知・岐阜の一部に見られる独特なものだそうで、民家の屋根の上に、もうひとつ小さな屋根がついたような形で祠が作られ、祀られている神様とのこと。小牧市では、小牧駅から西へ約500mのところにある、上街道と呼ばれる通りで見ることができるそうです。
江戸後期から4度に渡り大火に見舞われた、木曽街道沿いの宿場町・小牧宿。なんとか火から町を守ろうと、屋根の上に防火鎮守の守護神である秋葉社「あきやさま」(秋葉様)を置き、火災から町を守る「屋根神様」として祀ってきたのだといいます。長きにわたり、“みんなでお世話する”庶民の神様として親しまれてきた「屋根神様」。小牧市のホームページによると、改造・移築されたものがあるものの、今なお、全部で11体、見ることができるようです。
氏子の総代である萬長の鈴木さんが「先祖からのものをこれからも絶やさずにいかに護っていくか」と語るように、少子高齢化、そしてさらに隣人との関係が希薄になったこの時代に、「屋根神様」を“みんなでお世話する”ことは困難が伴うのかもしれません。しかし、こうして広報紙で日常の景色に埋もれがちな「屋根神様」について広めることで、いろいろな人が関心をもち、大切にしていく気持ちが広まってくに違いありません。
我が家の近所を訪れているパワースポット好きな若い人たちも、この「屋根神様」の特集を読んだら、小牧を訪れたくなるかもしれませんね。私も感心するばかりでなく、地元の神社仏閣について、知識を仕入れておこうと思います。