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自治体の皆さまへ

重要性が見直されている「自治町会」 その未来像とは…

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2018.11.05 広報かつしか 平成30年10月25日号 葛飾区

 宮城県のある小学校を訪れた時のこと。東日本大震災の際、その小学校が避難所として使われた、という話になりました。先生いわく、「ここは町会が中心になって運営してくれて。情報が共有されていたから、すぐに発電機を集められたし、お祭りで慣れていることもあって、炊き出しもスムーズだったんですよ」。

 こうした生の声を聞くと、自治会や町会が、災害時に大きな役割を果たすのだなと、改めて思います。そして「いつもの馴染みの顔」との助けあい、支えあいは、災害直後の救出時、避難所の運営、仮設住宅の暮らし…と、長きにわたって欠かせないものだとも、その先生は教えてくださいました。

 ここのところ大きな災害が続き、自治会や町会の重要性が見直されています。一方で、加入率、参加率の低下が問題にもなっています。東京都葛飾区の広報紙『広報かつしか 平成30年10月25日号』は、「自治町会から広がる地域の輪」と題した特集で、加入を呼び掛けていました。

 記事によると、葛飾区にある「自治町会」は平成30年10月1日現在、242。約3分の2の世帯が加入しているそうです。加入率が2割台ともいわれている自治体がある中、さすが東京・下町エリアといった感じがします。しかし葛飾区は、ここのところの都心回帰志向を反映してか、転出を上回る転入によって人口が増加しているそう。新しく転入してくる人々にも参加してもらおうと、区の地域振興課で最寄りの「自治町会」を紹介したり、「自治町会」加入希望ハガキが同封された転入者向け紹介リーフレットを配布したり…とった工夫をされているようです。

 二十数年前、私も同じ東京23区に引っ越してきました。自治会・町会の活動は活発だったのですが、引っ越し当初は自治会や町会へのアクセス方法がわからず、戸惑ったことを覚えています。こうして積極的に紹介してもらえると、参加へのハードルはぐっと下がることでしょう。

 一方で、都心に住む身としては家族の縮小、個人世帯の増加といった住人のライフスタイルの変化を実感しています。学生、高齢単身世帯、共働きで子育てをしている世帯…と、抱えている事情も多様化。地域の活動に割ける時間も限られています。こうした中で、自治会や町会を維持していくには、今後、その活動内容の見直しも必要になってくるでしょう。

 災害時だけでなく、住民自治、住民と行政との協働…と自治会や町会に寄せられる期待は、ますます大きくなっている今。参加する住民の確保とともに、今後はライフスタイルの変化に対応させた、参加の方法も工夫していく必要があるのかもしれません。

 

自治町会から広がる地域の輪

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