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若い人に届けたい…チケットの購入や転売などのトラブル事例

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2019.08.05 広報こまえ 令和元年8月1日号(1275号) 東京都狛江市

 東京オリンピック・パラリンピックの開催が近づき、「チケットが当たった」「当たらなかった」といった声を耳にするようになってきました。こうしたチケットの入手が困難な大きなイベントの前に起こりがちなのが「チケットの購入や転売のトラブル」。先手を打って今年6月に「チケット不正転売禁止法」が施行され、チケットの高額転売等が禁止されたのですが、さて、どのくらいの人が把握しているでしょうか。

 東京都狛江市の広報紙『広報こまえ 令和元年8月1日号』は、「消費生活センターから」という欄で、チケットの購入にまつわるトラブルや「チケット不正転売禁止法」について取り上げていました。紹介されていた相談事例は、海外のチケット転売仲介サイトで購入したスポーツ観戦のチケットが高額なので解約したい…というもの。チケット転売仲介サイトは個人間取引となるため解決が困難であること、サイトの規約に解約はできないと記載されていること、また海外サイトでもあることなどから交渉が非常に難しいと説明されています。

 インターネットで簡単にいろいろなものが購入できるようになったというのに、こうした購入に伴うトラブルの事例を知る機会は限られています。「しまった!」と思った時には、後の祭りということが多いもの。トラブル事例はあらかじめ知っておくことが重要です。

 では、最新のトラブル事例などの情報は、どこで入手できるのでしょうか。国民生活センターや各都道府県の消費生活センターは、随時注意喚起していますから、各サイトを見ればよいのですが、こまめにチェックする人は少ないでしょう。となると、主な情報源は新聞などで報じられた注意喚起の記事ということになります。しかし「新聞や新聞記事は読まない」人の割合は若い人ほど高く、20代では56.9%と過半数を超えています。20 代以下ではなんと 70%以上の人が、SNS(LINE、Twitter、Facebook など)のインターネットニュースから情報を得ています(※)。新聞なら大きな字で注意喚起されることも、SNSでは大量に流れてくる“知らない人の日常の話”と同じ扱いで流れてきます。チケットトラブルに関するニュースが目に留まらないだろうということは、想像に難くありません。

 若い人の紙媒体離れが進む中、新聞同様、広報紙も届ける工夫が求められていることは確かです。「消費生活センターから」という情報を広報紙で発信し続けていく地道さを大切にしながら、今後は、情報過多の中、届けたい人に情報を届ける方法を検討していくことも、やはり必要なのだと思います。

※「メディアに関する全国世論調査 第11回調査」2018年、公益財団法人新聞通信調査会

 

消費生活センターから(141)

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