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自治体の皆さまへ

車との関係を考えるきっかけに…免許返納者にインセンティブ

「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事
あんびるえつこ

2017.03.27 広報こさい 平成29年4月号 静岡県湖西市

私には、年に何度か実家に帰るたびに、必ずチェックしなくはいけないことがあります。それは両親の運転技術! もう2人とも80歳半ばです。高齢者の事故のニュースを耳にするたび、ドキドキしてしまうようになりました。ところが、両親は、やれ買い物だ、やれお稽古事だ…といっては、毎日のように車に乗って出かけています。地方に暮らしていると、車はもはやライフスタイルの一部。生活の中に、がっちりと根を下ろしています。

とはいえ、いつまで運転していていいものやら。子どもとしては心配で仕方ありません。同じくらい高齢の親をもつ友だちとも話をしたりするのですが、無理やり免許を取り上げては生きる意欲をなくしてしまうのではないか、車がなくなることで出かけるのが億劫になり、引きこもってしまうのではないか、それ以前に、免許を返納したら…なんて言ったら怒り出すのではないか、と議論した挙句、結論はいつも子どもとしては見守るしかない…という話になります。そして、願わくは自分たちで、ころあいを見て、返納してくれますように…と、まあ、こういう話になるわけです。

そこで目にしたのが、静岡県湖西市の広報紙『広報こさい』にあった記事「平成25年4月以降に運転免許証を返した人へ~バス無料乗車券2年分を交付します!」です。なんでも、運転免許証を自主返納した人、一定の病気によって免許証を取り消された人に、コーちゃんバス・自主運行バスの無料乗車券を、なんと2年分も交付してくれる、という記事です。
たとえ、免許を返納しても、日常の移動はコミュニティバスがありますよ。そして2年間は無料で乗れますよと、そんな耳寄りな情報の提供があったら、特に金銭的なインセンティブに弱いうちの両親の場合、車との関係を見直してみようという気になってくれるかも…。

交通事故は被害者にとっても、加害者にとっても不幸です。よく生きようと心がけ生活し、やっと得た日々の平安を、理不尽にも奪い去るものです。そんな不幸な事態を避けるための、行政からの、いわば先手打ちの提案。子どもにとっては、かゆいところに手が届くような、なんともありがたい提案だなあ…と思った次第です。

 

平成25年4月以降に運転免許証を返した人へ~バス無料乗車券2年分を交付します!

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