水戸市に学ぶ…“読ませる”次年度予算
新年度のスタートとなるこの時期、多くの広報紙で、次年度予算について報告されています。大事なこととはいえ、数字が並んだり、漢字が多くなったり…で、読者がこれをきちんと読み、理解し、判断の材料とするには、いささか難儀することでしょう。いかに「読ませる」かー。市民参画を促すためにも、ここは広報紙の腕の見せどころかもしれません。
「読ませる」という視点で広報紙をあれこれ見て、これは!と目に留まったのが茨城県水戸市の『広報みと 平成29年4月1日号』です。
平成29年度 市政運営の基本方針、平成29年度水戸市の予算、平成29年度の主な事業…と、書いてある内容はお決まりのものです。では何が「読ませる」のか。その“仕掛け”を見ていきたいと思います。
最初に、私がこの『広報みと』をじっくり読みたいなと思ったのは、冒頭の市長のお話に興味を引かれたから。昨年度は初めてフルマラソン「水戸黄門漫遊マラソン」を実施したことや、納豆の消費が全国1位になったこと(逆に一昨年度までは1位ではなかったのか!)…といった具体的な昨年度のエピソードが面白く、まず目を引いたのです。こうした振り返りは、昨年度、市がどのようなことをやってきたかを読者に理解させる役目をするだけでなく、では次年度は?という風に、次への興味を抱かせてくれます。
導入で興味をもって読み進んだ読者を放さないためには、パッと見たときに、難しくないと思わせない工夫も必要です。これは、構成、レイアウトといった要素に依存することが多いものですが、『広報みと』PDF版のp3~5を見ると、市政運営の基本方針が、項目、本文、そして事例の写真によって見やすくレイアウトされています。特に事例の写真は、具体的に基本方針を表していて、自然と目がいきます。
さらに最後の「平成29年度の主な事業」を「読ませる」には、もうひとつ工夫が必要になります。この部分は、どうしても文字が多くなり、読んでもらうのは至難の業だからです。が、ここでも『広報みと』は、新規事業には、赤い字で「新」のマークを付けて表記。ちょっとしたことですが、これで「新しくこんなことをするのか!」と興味をもって目を通してもらうことができる…というわけです。
こうした「読ませる」工夫は、雑誌を読んでいてもヒントを得ることができます。実は学習参考書なども”仕掛け“の宝庫です。思わず自分が読んでしまった記事にはどんな”仕掛け“があったのかー。そんなことを考えながら見ていくと、意外な発見があって面白いものです。