編集後記
日ごろ、自治体の広報紙やWebサイトを研究の一環として眺めていると、イレギュラーな何かがあると少し嬉しくなります。これは何か他と違うこと・新しいことを探してしまう研究者の性かもしれませんが、行政の活動はそれくらい横並びです。そういう状況の中で、少しでも違う何かを試みることは難しいことでしょうから、イレギュラーな何かを見つけると称賛の声をかけたくなります。
今回取り上げる、佐賀県多久市の広報紙の「編集後記」もちょっとしたイレギュラーです。まず、編集後記自体が必ずしも全ての自治体の広報紙に設けられているわけではありません。マイ広報紙の検索機能を使って「編集後記」で検索してみると、多久市の他には、室蘭市・福井市・新居浜市・大阪市淀川区しかヒットしませんでした。それくらい、自治体広報紙における編集後記の掲載は少数なのです。
多久市の編集後記がイレギュラーなのは、他の市よりも一人の文章の分量が多めなことです。その分、それぞれの書き手の思いが伝わる内容になり、担当者の「顔が見える」ものになっています。
広報紙にも実体のある作り手が記事の向こうには存在しています。記事の内容もさることながら、誰が作り、誰に伝えようとしているのか。作り手の思いも市民には伝われば、広報紙もより意義深いものになるはずです。
ちなみに、多久市の横尾俊彦市長は、地方分権改革推進委員会委員を務めるなど、その世界では名の知れた市長さんです。「顔の見える」市長のもと、マイ広報紙にも登録されたことによって、多久市の広報発信もより充実したものになっていくのではないでしょうか。
記事はこちら