中学校の情報公開
「マイ広報みかわまち」のサイトを開くと、陽に照らされた一面に広がる田園の景色が飛び込んできます。今回の注目記事は、その自然あふれる山形県三川町『広報みかわ』平成29年7月15日号の「子ども広場 三川中学校より」です。
今回、このコラムで紹介されているのは、平成29年度三川中学校生徒会の取り組み。「今年度の生徒会スローガン」と、そこに込めた思い、そして「生徒会目標」、加えて、いじめをなくすための「なかよし三原則」やSNSの使い方についてなど、現実の問題への対処方針も示されています。
ああ、懐かしいなと、私ははるか昔の中学校時代を思い出してしまいました。ドキドキしながら生徒会で決めたスローガンなどを生徒総会にかけたこと、生徒総会で無事生徒全員に承認されたときの爽快感…。しかし当時は、こうした思いを込めた活動方針は、生徒間での共有で終わってしまいました。もしかしたら保護者向けに、なにか文書を作っていたかもしれませんが、少なくとも、三川中学校のように地域に公表することはなかったように思うのです。
息子や娘たちの中学校でも同様でした。中学校設置基準(平成14年3月29日 文部科学省令第15号)に、情報の積極的な提供が挙げられていますが、第三条の条文を見てみると、「中学校は、当該中学校の教育活動その他の学校運営の状況について、保護者等に対して積極的に情報を提供するものとする」と、その対象は「保護者等」とされていて、特に地域をうたってはいません。
生徒会の活動は、あくまで生徒間のものであり、学校内、せいぜい保護者までの情報共有に終わっています。しかしよく考えてみると、生徒こそ学校の中心的存在。何を考え、何を問題と捉え、何に取り組んでいるのか…、そこにこそまさに「学校」が存在すると言っても過言ではありません。生徒の思いを地域が共有することは、地域連携に欠かせない、重要なポイントなのかもしれません。そういえば、情報公開条例を初めて制定したのは、同じ山形県の金山町。偶然ではなく思えてきます。
それにしても三川中学校の「なかよし三原則」の徹底のための「2つの宣言」、「1互いの個性を認め合い、誰にでも平等に接する」「2ごめん、ありがとうを言う」は、おとなも宣言したくなる素敵な取り組みです。この広報紙の記事を読んだ地域の方々が、三川中学校の生徒同士が「ありがとう」を言い合っている場面に出くわしたら、思わず微笑んでしまいそうですね。