◆起死回生の一手
この絶望的な状況を打破したのが「きらら397」の誕生です。米の品種改良に取り組む、上川農業試験場の宗形信也(むねかたしんや)さんに話を聞きました。
「北海道産米は、かつては地元の人も食べないような存在でしたが、北海道でおいしい米を作るという熱意を持って品種改良が続いてきました。年におよそ100パターンの交配をし、その結果が出るのに10年かかります。10年待ち続けても、思うような米にならないことがほとんどです。そうした試行錯誤の末、昭和63年に誕生した『きらら397』で、北海道産米のイメージは一新されました。その20年後に開発した『ゆめぴりか』で、さらに人気に拍車が掛かり、北海道が米どころとしての地位を確立できました。
ゆめぴりかの品質はかなり高いですが、もちろんこれに満足しておらず、よりおいしい米の開発を目指しています。そこには、味の向上だけではなく、寒さに強い、病気にかからないなど、生産のしやすさという改良も含みます。農家の人手不足が問題となっている中で、農作業の省力化への転換期を迎えており、収穫量の多い稲を開発することが、その手助けにつながります。品種改良に終わりはありません」
◆迫り来る危機、再び
おいしい米の開発に成功している一方、近年では担い手不足という危機に直面しています。農政課の小松義尊(こまつよしたか)さんに話を聞きました。
「農業の世界でも高齢化が進み、離農する人が増えています。離農した人の農地は現役世代の農家が引き継いでくれていますが、このままのペースでは、それもいずれ限界を迎え、使われない農地が出てきてしまいます。また、離農する人が増えると、次の世代に知識や技術を伝えることが難しくなり、新規就農のハードルがさらに上がることも問題視しています。
市では、年間60件ほどの就農相談を受けていますが、農業センターや農家の研修を受けて、実際に新規就農する人はごくわずかです。新規就農には、初期費用の工面や農地の確保も重要ですが、特に地域との円滑なコミュニケーションが不可欠です。地域に受け入れられたときの周囲のサポートは、とても頼もしいものだからです。
食は命を支えており、それを作る農業はやりがいのある仕事ですから、若者には農業の現場にどんどん入ってもらいたいです。そして、農業のさらなる発展を目指して、就農者を増やすことと、新しい技術を導入した農作業の省力化という両輪を実現するシステム作りを進めていきたいです」
◆新たな挑戦
祖父の代からの米農家3代目となる、あさひかわ農業協同組合青年部部長の大澤直弥(おおさわなおや)さんに話を聞きました。
「旭川農業高校を卒業後、大学に進学し、一度は民間企業に就職しました。しかし、いずれは実家の農業を継ごうという思いがあり、担い手不足が問題となる中、26歳で実家に戻りました。離農していく周辺の農地を引き継ぎ、今では米の作付面積だけでスタルヒン球場のグラウンド約2個分にまで広がっています。もう少し広がってもまだ管理できますが、効率化と負担軽減のためにドローンの免許を取得して水まきなどに活用しようと考えています。また、広い敷地で米だけを作っていても、いつか価格が下がったときに経営が成り立たなくなるので、他の農作物を作ることも視野に入れています。
仕事と同じぐらい、仲間との情報交換を大切にしており、市外の農業関係者とも交流しています。若い世代から聞く新しい技術や、高齢の方の体験談には、掛け替えのない価値があります。特に、成功例よりも失敗例のほうが勉強になることが多いです。
農作物は、やればやるだけ返ってきますから、手間暇をかけて育てています。農業は何かと大変なことが多いですが、若い人と一緒に農業を盛り上げていきたいです」
■作ってみませんか?稲わら細工
昔の人は稲わらを使い、身の回りの生活用品を作っていました。
今回は簡単な織り方を紹介します。稲わらや麻糸がなくても、小枝やひもなどでも作れるので、ぜひお試しください。
(1)段ボール箱に等間隔に切れ目を4つ入れ、麻糸を通します
(2)1段目は、稲わらを置き麻糸で1度玉結びをします
(3)2段目は、稲わらを置き麻糸を交差して仮止めします
(4)(3)を繰り返して、最終段は再度玉結びをします
(5)両端をはさみで切りそろえて完成
(6)牛乳パックに巻き付けて花瓶にしたり、写真を貼って壁掛けにもできます
詳しくは市HP
しめ飾り教室の案内を広報誌11月号に掲載予定
問い合わせ:古屋農園(東旭川町豊田)
【電話】76・2668
◆そして未来へ
130年という長い時間をかけて発展してきた、旭川の米作り。その根底には多くの人たちの努力や、今を乗り越えるための独自の発想、より良い未来を実現するための強い意志がありました。先人たちの思いや技術を引き継ぎ、若い世代が新たな挑戦を続けることで、旭川市の農業はさらなる発展を遂げていくことでしょう。
詳細:政策調整課
【電話】25・5358
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