■第31回:「なぜ、たばこがやめられないんですか?」
このシリーズでは総合診療医が患者さんからいただいた質問をもとに市民の皆さんが困っている症状や疑問について解説します。
先日いただいた質問はこれです。
「なぜ、たばこがやめられないんですか?」
たばこを吸うことを喫煙と言い、喫煙は百害あって一利なしと言われているように、多くの病気を引き起こします。たばこをやめることを禁煙と言い、いろいろなところで禁煙が進められており、パンフレットやチラシもいろいろなところに貼られています。このように啓発されていますが、禁煙できない方はたくさんいます。なぜ禁煙できないのでしょうか。
それは、喫煙が続いている状態が、ただの「たばこをやめられない状態」ではなく、れっきとした「ニコチン中毒症」という病気だからです。一度、たばこを吸い始めてしまうと、ニコチンが体に入り、ニコチンに対して依存状態になってしまいます。その状態が長く続くと、ニコチン中毒症になります。ニコチンは脳内のドーパミンというホルモンを一時的に刺激して、快感を生み、それがニコチン依存を生むとされています。
ニコチン中毒症が軽度の方に関しては、自分の意志だけで、禁煙が可能なこともあります。しかし、ニコチン中毒症が長期間続くと、たばこをやめようとしても、離脱症状が強く現れて、自分の力でたばこをやめることは困難となり、加療が必要な状態になります。
喫煙状態はニコチン中毒症という疾患であり、医学的加療が必要になります。その中の一つとして、「禁煙外来」で行うパッチや飲み薬を使った治療方法があります。禁煙希望のある方々は、病院受診をすることによって、ニコチン中毒症に対する加療が可能になり、禁煙を行うことができます。
人によって、薬の合う、合わないがありますので、ぜひ、今回の患者さんにように「たばこがやめられない」と思っている方は、かかりつけ医の先生に相談いただくか、当院を受診していただけると適切なアドバイスをさせていただきます。雲南市での喫煙率が下がり、多くの方々がたばこによる害から身を守り、健康で楽しく生活できるといいですね。
たばこを吸うと…
・ニコチン
・ニコチン受容体
↓
脳にあるニコチン受容体にニコチンが結合
結合→ドーパミン
↓
快感を生む物質(ドーパミン)をたくさん放出
↓
ところが、ニコチンはすぐに消える
↓
禁断症状
たばこを吸いたい!ニコチンが欲しい!
↓
依存症になる
※詳細は広報紙21ページの図をご覧ください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>