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[特集]新型コロナウイルス差別をなくす~感染者を受け入れる社会へ~

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新潟県新潟市北区

新型コロナウイルスの感染拡大が収まりつつあります。一方で、感染者への偏見や差別、誹謗(ひぼう)中傷はいまだに残っています。大湊さんが感染後に受けた誹謗中傷などの体験談から、偏見や差別のない社会の実現に向けて私たちにできることを考えてみませんか。
※10月26日に豊栄地区公民館で開催された講演会「誰にでも起こりうるコロナ差別をなくすために」の内容をもとに掲載しています

大湊(おおみなと)陽輔(ようすけ)さん
加茂市在住
(株式会社 大湊文吉商店 代表取締役)

◆予防を徹底していた中での感染
大湊さんが体調に異変を感じたのは昨年12月のこと。東京での商談を終え帰宅した2日後の同月23日に、37.6度の熱とのどの痛みが出た。東京滞在中もマスク着用とこまめな手指消毒を徹底し、食事も一人でとるなど、感染予防には人一倍気を使っていた中での感染であった。
24日、熱が38.7度まで上がった。「最初はただの風邪だと思ったが、『もしかして』という考えが頭をよぎり、不安で不安で仕方がなかった」。翌日になっても熱が下がらないことから三条保健所に相談し、PCR検査を受けることになった。結果は陽性。27日に入院することになる。

◆容体が急変 意識不明で生死をさまよう
入院時の診断は“軽症”だった。「熱も下がっていったので、1週間も入院すれば治ると思っていた」。しかし、29日の夜に容体が急変。血液中の酸素の量(酸素飽和度)が86%になり、呼吸不全の目安とされる90%を下回り重症化した。すぐに専門の病院へ転院することになる。救急車での緊急搬送中に意識を失った大湊さんは、病院へ到着後、そのまま集中治療室へ運ばれた。
その日の夕方、医師から大湊さんの妻へ電話が入る。「できる限りの処置をした。いつ急変してもおかしくない状況なので、自宅で待機してほしい」と告げられた。家族は死を覚悟したという。
集中治療室に入って11日目の1月9日。ようやく意識が戻り、大湊さんは一命をとりとめた。「意識を失っている間、首を絞められるような苦しさと悪夢にうなされていた」。医師からは「生還したのは奇跡」と言われたという。体重は11日間で13キロも減った。「懸命に治療してくれた医師と、24時間体制で看病してくれた看護師には感謝してもしきれない」と振り返る。

◆身をもって感じた偏見と差別
1月16日、大湊さんは自身のフェイスブックで、新型コロナウイルスに感染し意識不明だったことを公表した。「隠すと変なうわさが広まると思い、正しい情報を自ら発信することにした」。投稿後、知人・友人から励ましの温かい言葉がたくさん届いた。
一方で、心ない言葉をかけてくる人もいた。「『会社経営がうまくいっていないから心労がたたって感染したんだろう』といわれのない中傷を受けた。相手は軽い気持ちで言ったのかもしれないが、この言葉は一生忘れることができない」。
肺の機能も徐々に回復し、ほかの人への感染リスクもないとの診断で、1月22日に退院した。自宅に戻った大湊さんを待ち受けていたのは感染した人への偏見と強い風当たりであった。「大湊さんの家の近くを通ると感染する」と言う人がいるという話が耳に入ってきた。「感染すると悪いから大湊商店の敷地をまたぎたくない」という取引先業者もいた。
「症状が回復しても、偏見や誹謗中傷により精神的な痛みを負う。感染者が安心して戻れる地域でなければいけない」。大湊さんは強く感じたという。

◆正しく知り、感染者を受け入れる社会へ
「新型コロナウイルスがどんな病気か分からないから、みんなむやみに怖がる」。その恐怖が偏見や誹謗中傷につながっていくのだという。
「新型コロナウイルスを正しく知り、感染者を受け入れる社会を目指そう」と大湊さんは呼びかける。感染したことを安心して公表できれば、感染拡大対策をすぐにとることができる。
大湊さんは今でも、狭い暗闇に入ると当時の悪夢がよみがえってくる。「二度と感染したくない。感染するリスクがある中で、最前線で頑張ってくれている医療従事者たちがいる。私たちもひとりひとりが協力して感染症と戦っていかなければいけない」と最後に思いを語った。

◆差別などをなくすために~人権擁護委員に聞きました~
『自分事として考える』
ふとした言葉や態度が知らないうちに人を傷つけてしまうことがあります。「もし自分が同じ立場だったら」「家族や友達が被害者の立場に立たされていたら」ということを想像してみてください。自分が言われたら嫌なこと、されたら嫌なことは、ほかの人にもしないようにしましょう。
「うわさ話は広めない」「本当かどうか分からないことは信じない」ことも大切です。インターネットやSNSではさまざまな情報が簡単に手に入ります。しかし、そこに書かれている情報がいつも正しいとは限りません。「もし間違った情報だったら?」。知らずに広めて加害者になる可能性もあります。すべてをうのみにするのではなく、確認しましょう。
「自分は関係ないから」と無関心でいるのではなく、当事者意識をもつことが大切です。
-伊藤 裕美子さん(新潟人権擁護委員協議会 北部会長)

問合せ:地域総務課
(【電話】025-387-1155)

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