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エッセー 法律あれこれ

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福島県相馬市

企画政策部 参事
弁護士 小津充人
大阪府出身。平成17年弁護士登録。大阪の法律事務所で4年勤務後、日本弁護士連合会などの支援で設置された公設事務所(秋田県大館市)に所長として赴任(6年間)。平成28年4月より現職(福島県弁護士会会員)。

◆元号法
長い引用をするのは、原稿書きに困ってスペースを埋めるためだろう︙との批判もないわけではないですが、批判に負けず、今回も法律の全文引用してみます。

▽元号法
・1 元号は、政令で定める。
・2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。(引用ここまで)
今回、元号法を取り上げたのは、はやりに乗りたかったという面もありますが、気になる点も何点かあります。
一つは、この法律が何条で構成されているか。「第〇条」の記載がないので1条だけで構成されているだろうと推測できますが、附則にもヒントがあります。

▽附則
・1 この法律は、公布の日から施行する。
・2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。(引用ここまで)
なるほど、附則「2」で法律本体の「1」が「第一項」の意味だと判断できます。
他方、昭和の元号はこの法律で定められたということもわかります…が、この法律が大正から昭和への改元の際に定められたにしては言い回しが現代的ですし、この法律に基づき定められた「ものとする」という仮定的な表現が気になります。そこで、法令番号を確認すると「昭和54年法律第43号」とあります。なるほど、昭和54年に成立した法律であれば、現代的な言い回しも、さかのぼって根拠を与えたような「ものとする」という表現も納得です。
ただ、昭和の元号が、昭和が始まってから54年も過ぎた時期に定められた点は気になります。連綿と続く元号に最近まで法的根拠がなかったかのように感じられますが、法律の世界には、慣習化され確立された規範について一定の法的拘束力を認める慣習法という概念もありますので、明文の法律がないとその根拠がないというわけではありません。また、そもそも元号については、天皇主権原理を採用した大日本帝国憲法の下では、立法権が天皇に帰属していたため法律と元号の関係は特に問題にならなかったものの、国民主権原理を採用する日本国憲法の下では、立法権が国民(国会)に帰属する一方で、元号を定める権能をどのように扱うかについて、国民的議論も十分でなく、結論が出せないまま時間が経過した…というのが実情だと思われます。そのためか、本法には、国民に使用を強制する文言はありませんし、罰則もありません。使用してもいいし、しなくてもいいのです。法律は、多くの場面で「白黒はっきりさせる」作業ですが、時に、歴史的・文化的作業を担うこともあります。

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