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がんの終末期に点滴を控える理由

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奈良県 三宅町

緩和ケア科部長
中村契

◆食事量が減った患者への栄養療法
がんになると多くの患者さんは食欲が低下します。それはがんが原因となることもあれば、抗がん剤などがんに対する治療が原因となることもあります。栄養が不足すればますます体力が落ちてしまうため、食事量の減った患者さんには栄養を補うための点滴など、積極的な栄養療法が行われます。

◆がんの終末期には点滴による苦痛も
しかし、これには例外があります。がんの終末期(亡くなられる前のおよそ1ヵ月くらいの間)に入ると、身体が受けつけることができる栄養量が大幅に低下します。この時期に点滴を行ったとしても残念ながら体力の回復は見込めません。そればかりか点滴によって身体に入った過剰な水分がむくみや痰に変わり、かえって患者さんに苦痛を与えてしまいます。そのため、がんの終末期にはそれまでの積極的な栄養療法を中止して「点滴を減らす、あるいは止める」という治療方針の転換が必要となります。がんの終末期に点滴を行わなくても余命には影響しない(寿命は縮まらない)という研究結果があります。つまり、点滴をやめるのは、苦痛を回避するための治療であり、決して「もうあきらめたから何もしない」ということではないのです。
とはいえ「点滴をしないのはただ死を待つようでつらい」と点滴を希望される方々は多くいらっしゃいます。そのお気持ちは十分に理解できます。患者さんまたはご家族が点滴を強く希望される場合には、やや少な目の量の点滴で様子をみます。それでもむくみや痰の増加などがみられたときは、点滴を続けるか止めるかを改めて相談するようにしています。

◆終末期の緩和ケアの答えは一つではない
終末期の緩和ケアの答えは、一つではありません。たとえ終末期の厳しい病状であっても患者さんやご家族にとって最善の道がみつけられるように、どのようなご質問やご要望にも丁寧に答えるようにしています。

問合せ:国保中央病院
【電話】0744-32-8800

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