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空き家の相続を考える〜所有者不明土地の解消に向けて〜

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静岡県掛川市

■損害賠償責任の可能性
建物や土地には「不動産登記」という戸籍に相当するものがあります。不動産登記されていない場合、どのような問題が起きるのでしょうか。
建物の倒壊などで近隣に被害が出た場合、建物の所有者が賠償責任を負うことになります。登記上の所有者が亡くなっているときには、法定相続人である配偶者や子どもなど相続権のある全ての方が対象です。また、その配偶者や子どもが亡くなっているときには、孫や兄弟などに賠償責任は継承され、関係者はかなりの人数に膨らみます。その結果、会ったこともない県外の相続人が絡み合い、問題がさらに複雑化していくことも。場合によっては、その建物の存在すら知らない方が、賠償責任を負うことになる可能性があります。

■迷子の土地を出さないために
相続登記が正しく行われないことで発生する問題は空き家だけではありません。

1.所有者不明土地の増加
人口減少や高齢化の進展、地方から都市部への人口移動などを背景に、土地の利用ニーズが低下し、土地の所有意識が希薄化することで「所有者不明土地」が全国的に増加しています。

○所有者不明土地とは
相続登記がされないことなどで、次のいずれかの状態となっている土地をいいます。
(1)不動産登記簿などを参照しても、所有者が直ちに判明しない土地
(2)所有者が判明しても、所有者に連絡がつかない土地

2.所有者不明土地の問題点
所有者不明土地は民間取り引きや土地の利活用、公共事業などを円滑に進める上での妨げとなります。また、空き地として長い間放置されると、雑草の繁茂やごみの投棄など管理不全の状態となり、周辺住民の生活に悪影響を及ぼすおそれがあります。そこに空き家が建っていれば建物管理不全の問題にもなります。

○管理不全状態の空き家を抱える地域の問題点
・老朽化に起因した地震による建物の倒壊
・不審者の侵入や放火、その他犯罪の現場になるなど治安の悪化
・ごみの不法投棄
・害虫などの発生による環境悪化
・まちの景観が悪くなる

■資産を生かす相続手続きを
不動産登記の手続きは法務局で行いますが、書類の作成など時間と労力を費やす可能性が高いことから、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。正しく相続登記をすることで、権利関係にかかる問題を回避することができ、売買をすることもできるようになります。所有者本人が死亡する前に、みずから土地や建物などを整理することも遺族に手間をかけさせない終活の一つと言えます。日頃から家族間のコミュニケーションを大切にし、不動産についても話し合っておくことが、放置空き家の防止となり、さまざまなトラブル回避につながっていきます。

■空き家、空き地なんでも無料相談会
空き家の問題は建物によりさまざまです。みなさんが抱えているお悩みに、NPO法人かけがわランド・バンクの専門家が無料で相談に応じます。
日時:8月21日、10月16日の日曜日
場所:
8月…大須賀中央公民館(西大渕)
10月…大日本報徳社(掛川)
申込方法:平日の午前10時〜午後4時に電話、メールまたはFAX
【電話】64-3121・【FAX】64-3122・【メール】info@kakegawa-lb.jp
(相談内容明記)

■専門家一覧
・司法書士(相続登記・成年後見人)
・宅地建物取引士(土地、不動産売却・賃貸)
・建築士(建物調査・耐震診断)
・土地家屋調査士(土地・不動産登記)
・行政書士(土地建物契約)
・税理士(家屋・土地に関わる税金)
・生前遺品整理士(遺品整理)
・空き家管理専門屋(管理代行サービス)
※相談内容に合わせて担当を決めます。

■令和6年から相続登記が義務に
○静岡県司法書士会掛川支部 青野雅之さん
これまで相続登記は任意でした。そのため、手続きが面倒だったり、話し合いがうまくいかなかったりして登記がなされないままになってしまった土地が所有者不明土地として残り続け、問題となっています。しかし、法改正により、令和6年4月1日からは3年以内の相続登記が義務付けられ、違反した場合には10万円以下の過料の対象となることが定められました。これは所有者不明土地の解消につながる大きな一歩として期待されています。
また、相続土地国庫帰属制度が創設され、令和5年4月27日から施行されます。これは、相続を受けた土地に限り、負担金などを納めることで国へ帰属させることができる制度です。建物などが存在しないこと、境界が明らかであることなどのさまざまな要件はありますが、制度がうまく機能していけば、管理不全状態の土地が減っていくかもしれません。
みなさんもルールを遵守し、不動産の適正管理に努めましょう。

■祢里(ねり)の似合う街道の継承と創造
地域住民のみなさんの取り組みなどで、歴史的な街並みを残す横須賀街道の一部区間を平成26年1月から景観条例に基づく「景観形成重点地区」に指定しています。
「祢里の似合う街道の継承と創造」をテーマに、屋根の形状、壁面の位置、色彩、屋外広告物などが、街並みと調和するよう配慮いただくルールを地域のみなさんとともに定めています。
景観形成重点地区内で、建築物や工作物の新築など一定の行為を行う際には、事前の届け出とルールへの配慮が必要です。空き家の改築や外観の変更、空き地での新築などを行う際も対象となります。
詳細は、市ホームページまたは都市政策課までお問い合わせください。

問合せ:都市政策課
【電話】21-1152

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