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健康通信〜小牧市民病院より〜

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愛知県小牧市 クリエイティブ・コモンズ

■大動脈弁狭窄症
循環器内科 部長医師 加納 直明

心臓には4つの弁が存在し、血液の流れを一方向に維持する役割を果たしています。この心臓弁の機能が悪くなる病気を「心臓弁膜症」といいます。「大動脈弁狭窄症」はこの心臓弁膜症のうちの一種類です。
大動脈弁狭窄症は、心臓の左心室と大動脈の間にある、心臓の出口の扉の役割をする「大動脈弁」が何らかの原因により固くなり開放が悪くなった結果、全身に血液を送りにくくなる状態になります。常に心臓に負担がかかるため、息切れ、胸の痛み、足のむくみ、動悸、倦怠感、意識消失などの症状がみられるようになります。しかしながら、この大動脈弁狭窄症は長い年月をかけてゆっくり進行するため初期には自覚症状として気づきにくく、また加齢に伴う体の変化と似ていることから、「年のせい」と考えて見落としがちな病気の一つです。大動脈弁狭窄症の診断は主に聴診で心雑音を聴取することで診断に至ることが多いため、定期的な聴診や検査を行うことで早めに気づくことが可能です。
この大動脈弁狭窄症は自然治癒することはなく、一方的に進行していく病気です。重症の大動脈弁狭窄症まで進行した場合、従来の治療は開胸手術で心臓の弁の交換を行う外科的治療が行われてきました。しかしながらご高齢の患者さんの場合、手術のリスクが高いためにその決断が出来ず、治療を諦めるということが少なくありませんでした。
カテーテルを用いて大動脈弁置換術を行う治療を経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)と言います。
2002年にヨーロッパでTAVI治療が始まり、日本では2013年に保険適用の対象となりました。TAVIは開胸することなく、また心臓を止めることなく大動脈弁の治療をすることが可能であり、患者さんへの身体的負担が少ないことや入院期間が短いことが特徴です。多くの場合は太ももの付け根にある血管から弁を装着したカテーテルを挿入し、大動脈を経由して人工の大動脈弁を留置する「経大体アプローチ」で行われます。弁は留置した直後から機能しており、TAVI翌日にはお食事をとったり歩くことが可能になります。その後、概ね1週間程度で退院となります。
このように近年大動脈弁狭窄症に対して治療の選択肢が増えていますが、年齢、身体機能、併存している病気、血管の状態、大動脈弁の解剖学的要因などを評価して、手術治療、TAVIのいずれが適切であるかのご説明をさせていただきます。高齢だからと諦めずにそれぞれの治療法を理解したうえで、ご自身の価値観やご希望に沿って最適な治療を受けることが可能な時代となっています。
近年の循環器治療は目覚ましい進歩を遂げており、当院としましては常に最新で最適な治療を提供出来るように今後も努力して参ります。聴診で雑音を指摘されたり、息切れの自覚が出てきた際にはいつでもご来院頂ければと思います。

問合先:市民病院
【電話】76・4131

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