■ヒマワリに「平和」への願いを込めてウクライナ支援へ
ひまわり応援隊平和の種プロジェクト実行委員会 堀本喜正さん
コロナ禍で外出自粛が叫ばれた昨年の夏。写真の撮影スポットとして、また、近場のお出かけ場所として皆さんに明るい気持ちを届けられたらと、自家の2000平米の土地にヒマワリ畑を作りました。多くの方々に喜ばれ、今年も継続しようと考えていた矢先に、禅道会・小沢さんのSNSを通じてウクライナの方々が避難してくることを知りました。
そこで「国から遠く離れてきた寂しい気持ちを、ヒマワリの花を見て癒していただけたら」と花畑の見学にお誘いしました。
プロジェクトを立ち上げるきっかけになったのは、歓迎会の際に耳にしたウクライナの皆さんの言葉です。「1日でも早く働き、得たお金を国に残してきた家族や親戚へ送金したい」「戦争後の国の復興のために使いたい」との熱い思いを聞き、何かお手伝いできたらと考えるようになりました。
平和の種プロジェクトでは種をまき、栽培し、収穫するまで2〜3カ月を要します。しかし、一過性の活動ではないからこそ、折々でウクライナや平和に思いをはせていただく良い機会になればと考えています。多くの方にご賛同いただき、飯田下伊那地域の「あたたかさ」を改めて感じています。ありがとうございます。
[堀本さんプロフィール]
昭和47年、飯田市生まれ。飯田市鼎「堀本写真館」代表。令和4年、仲間とともに「ひまわり応援隊」を立ち上げ、ウクライナへの支援と平和復興を願う「平和の種プロジェクト」を始動。発起人として積極的に活動を続ける。
小型で愛らしいヒマワリ「ジュニアスマイル」。
「子どもたちを筆頭に、みんなの笑顔がつながっていけば」と品種名にも思いが込められています
○「平和の種プロジェクト」とは?
有志10人からなる「ひまわり応援隊」が立ち上げた平和支援プロジェクト。ウクライナの国花でもあるヒマワリの花を育て、種から搾油した「ヒマワリ油」を販売し、その収益を平和復興の一助としてウクライナへ寄付します。
個人、団体を問わず協力者を募集し、5月下旬〜6月中旬にヒマワリの種が配布されました。賛同者は6月〜8月下旬にかけてヒマワリを栽培し、観賞して楽しんだ後、収穫した種を回収場所へ届けます。その後、実行委員会がヒマワリ油を製造し、販売します。販売方法などは現在、協議を重ねており、随時発表される予定です。高森町をはじめとする14市町村、企業各社、学校、幼・保育園、個人など支援の輪は大きく広がり、今年だけでおよそ万粒のヒマワリの種が配布されました。今年の夏は、飯田下伊那地域の各所で平和への願いを胸に咲き誇る黄金色の花が見られそうです。
○ヒマワリを通じて思いをつなぐ若者たち
平和のシンボルであり、復興のシンボルでもあるヒマワリの花。ウクライナや東日本大震災の被災地へ思いを寄せて、「自分たちにできることは何か」を考え、行動を始めた若者たちの取り組みをご紹介します。6月11日(土)、アグリ交流センター東の畑にて、ヒマワリの種まきが行われました。当日はウクライナの方たちや松川高校や飯田高校の生徒たちも参加し、平和への願いを込めた種がたくさん植えられました。
松川高校ボランティア部:木下愛(きのしたあい)さん
今回は、前顧問の先生に「高森町で平和のためにヒマワリの種を植える活動があるので参加してみないか」と誘われ、日々、ウクライナ情勢やニュースを見ていて、交流や支援に関心があったので、参加しました。
ウクライナの人たちに会うまでは、戦争から逃れてきているので悲しい表情や暗い表情をしていると思っていましたが、実際は笑顔で明るい表情をしていたのを見て、ここ高森町に来て安心しているからだと思いました。その笑顔から、この活動の意味深さを感じました。
飯田高校生徒会:鈴木悠太(すずきゆうた)さん
参加の経緯は、今話題になっているウクライナの方たちのために、何かできないかと生徒会執行部で考えていて、高森町長に相談したところ今回の活動を紹介してもらい、参加しました。
参加してみて、ウクライナの人たちと少し触れ合うことができ、今回のような高森町で取り組んでいる活動を、もっと知って欲しいと思いました。ただ知るだけでなく、実際に参加することがとても大事で、ニュースで見ているだけでなく当事者として参加した経験が今後の自分たちのためになると感じました。
高森南小学校6年3組:地域の皆さんと福島の思いをつなぐ
6年3組担任 清水賢太(しみずけんた)先生
高森南小学校6年3組では、総合的な学習の時間で「福島の想いをつなぐひまわりプロジェクト」に取り組んでいます。
本プロジェクトは、福島県から届いた「ヒマワリの種」を使って巨大なヒマワリ迷路を作り、ヒマワリを通して「東北の皆さんを勇気づけたい」「東日本大震災のことを町民の皆さんにもっと知ってもらいたい」と始まった子ども発信の取り組みです。
種まき当日は、多くの方にご参加いただきました。このプロジェクトは始まったばかりですが、児童にとって東日本大震災は「過去の出来事」から、「語り継いでいきたい出来事」へと変化しているのかもしれません。これからもヒマワリを通して、東日本大震災や復興、そして高森の魅力づくりに関わっていきたいと思います。
光沢唯(こうざわゆい)さん
いろいろな人と種まきをしてみて、一番のよさは、私たちだけではなく、手伝いに来てくれた人も「福島とつながれた」ということだと思います。福島とつながることは、「福島の想いを知ってもらう」「育ったヒマワリを見に来てもらう」だけではなくて、種を一緒にまいて「お花が咲く前から関わってもらうこと」だと思います。他の学年やクラスは、いつでも見に来てもらうように頼めます。でも、地域の方はすぐに頼んで簡単に来てもらえるわけではありません。だから、今日は地域の人といっしょに種をまくことができてよかったです。
宮下颯太(みやしたそうた)さん
地域の方と種まきをしたよさは、まず、ぼくたちのやっている「ひまプロ」を知ってもらえたということです。これで、福島の想いをつないでいくという目標に向かう仲間が増えたと思います。実際に種まきをしてみて、地域の方はすごく優しいなぁと思いました。ぼくたちのために、貴重な30分間を「ひまプロ」のために使ってくれて嬉しかったからです。だから、その分も頑張りたいと思っています。それに「あたたかみ」を感じました。二人ひと組での作業では場が和んでいて、温かい雰囲気がありました。これを、6年3組と地域の方みんなで作っていたところがよかったなぁと思います。
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