くらし 町長メッセージ

■印南町の宝もの
印南町長 日裏 勝己(ひうらかつみ)

10月3日、市区町村議会議長として多年にわたり在職し、地方自治の発展に功績があったと認められる方に、総務大臣表彰が贈られました。令和7年度は全国で7名、和歌山県では唯一、堀口晴生議員が表彰されました。誠におめでとうございます。東京での表彰式には出席がかなわなかったため、10月9日に私から表彰状と銀杯を伝達させて頂きました。多年とは、町議会議長として通算12年以上で、氏は議員としてこれまで7期28年間の内、平成25年からの12年間を議長として務められ、その内、和歌山県町村議会議長会会長、近畿町村議会議長会会長など、数々の要職を歴任されています。本町のみならず和歌山県、近畿地方の発展にも寄与されたご功績は大変大きく、町の誇りであります。私も多くの事でご協力を頂き、言い尽くせないほどの感謝の念でいっぱいです。引き続き、印南町発展にご協力頂けますようお願い申し上げます。
さて、10月6日に、毎年恒例の印南浜公園で印南漁民をたたえる「顕彰碑」への献花式が印南漁民顕彰会の皆さまのご協力のもと、無事執り行う事が出来ました。早いもので、今年が顕彰碑建立から10年を迎える節目の年となります。1670年代に、高知県土佐清水で二代目角屋甚太郎がかつお節の製法を考案し、1707年に森弥兵衛が鹿児島県枕崎に、1781年から印南與市は千葉県・静岡県に製法を伝えました。今ではそれぞれの地域が全国屈指のかつお節の名産地となっていることに嬉しく思います。
一方、令和7年7月20日、宮城県気仙沼市で開催された「かつお溜め釣り漁伝来350年記念事業」に、ふるさと歴史文化研究室代表の坂下緋美氏にお声がかかり「かつお節発祥の地・紀州印南におけるかつお漁・かつお節の歴史文化の伝承活動」をテーマに講演されました。同じグループの岡崎さんとともにご出席され、大変好評であったと聞いており、印南町のことを多くの方々に知ってもらうことができたことに感謝しています。
気仙沼地域は350年前の1675年に、三輪崎町(現・新宮市)の紀州船5隻を気仙沼唐桑村に招き入れ、「かつお溜め釣り漁」として、村人たちが習得し盛んとなりました。印南漁民とのかかわりは、気仙沼市史の250頁に「印南漁民の来往」の項目があり「紀州溜め釣り船到来から16年目の1691年に印南村から伝吉、門次郎、六郎左衛門、二平太の4人が、かつお一本釣りや、かつお節製造の技術を伝えた」と記されています。(資料・坂下緋美氏)江戸時代の印南漁民が太平洋に向かって木造船を漕ぎ出し、九州の南端から東北三陸にまで足を延ばし、それぞれの地域に惜しげもなく技術を伝えていることに改めて気付かされました。その勇気と誠実さによる偉大な人間性は、今も印南町の「宝もの」として根付いていると思っています。