三重の未来を切り拓(ひら)く人の挑戦を紹介します!
自分たちがかがやけば、地域もかがやく
■故郷に帰ってきたようなぬくもりを届けたい!
okudo中村舎(おくどなかむらや)/いなべ市
オーナー 山崎 基子(やまさき もとこ)さん
「昔の暮らしを体験」できることをコンセプトに、かまどで炊いたご飯が主役の地元食材を使ったランチや昔の暮らし体験、場所などを提供する「okudo中村舎」を運営しています。私が昔の暮らしに興味を持ったのは、保育士として働いていたことがきっかけです。勤めていた保育園は山に近いところにあり、子どもたちと採ってきた山菜やむかごを味わったり、自分たちで育てたお米をおくどさん(かまど)で炊いたり、「食」を真ん中に考えた保育をしていました。そうした「身近な自然」と「食」とがつながっていることはとても大切だと思い、もっと日本の食文化を知りたいと保育士を退職し「農業」の勉強を始めました。また、保育士をしていた時に「いつか、おくどさんで炊いたご飯で卵かけご飯屋さんをしたい!」という夢を抱き、おくどさんのある空き家を探していました。そんな時、いなべ市の地域おこし協力隊に採用していただき、空き家と人をつなぐお仕事を3年間する中で、築220年の元庄屋さんだった中村家に御縁をいただきました。そのおかげで念願の古民家で、食を真ん中にして赤ちゃんからお年寄りまで同じ目線で集える「okudo中村舎」をスタートすることができました。
◆こんなことに取り組んでいます!
▽素の自分に“還る”場所づくり
オープン時から、地域の人に溶け込んでもらえる場所にしたいと思って情報発信をしていますが、SNSだけだとどうしても地元の人に情報が回りきらないので、毎月手書きでつくった「中村新聞」を回覧板で回してもらっています。この回覧板を地域のたくさんの人が読んで、地元の人がどんどん来てくださるようになりました。この前も「使っていないものがあれば、お譲りください」って回覧したら、すぐに「こんなんあるんやけど使わへんか」って、多くの電話をいただき、地域の皆さんに助けていただいています。
提供している食事も、すごいご馳走を作りたいわけじゃなくて、「おふくろの味」とか「おばあちゃんの味」を味わってほしいな、残していきたいなと思っていて、地元の食材や地元のおばあちゃんから教わったお味噌などで料理を作っています。故郷に帰ってきたような、ぬくもりを感じるところを大事にしたかったので、お客さんに「家(ウチ)より家(イエ)や」とか「ばあちゃん家や」と言ってもらえると、それが少しでもでき始めているんだと思えてうれしい気持ちになりますね。今は飲食が中心ですが、今後は宿泊業も手掛けてこの地域での時間をもっとゆっくり味わってもらえるようにしたいですね。また、地域の人たちとのつながりもできたので、古民家再生プロジェクトのような感じで、空き家を活用する橋渡し役や、移住のサポートなどもしていきたいです。いなべに暮らしていると、人としてすごく大事な五感を満たしてくれるところがある、とても豊かな町だなって思います。人と人がつながる場所づくりの発信拠点として、okudo中村舎を皆さんに使ってもらえたらいいなと思っています。
「地域おこし協力隊」について詳しくは本紙二次元コードをご覧ください
<この記事についてアンケートにご協力ください。>