■三重の明るい未来を拓(ひら)く!
新年あけましておめでとうございます。
昨今の日本経済は、コロナ禍から脱し、成長率が6カ月連続でプラス成長を記録するなど、少しずつ明るい状況が見え始めています。時々刻々と社会をとりまく情勢が変わる中、従来の富の再配分の方法で、日本の経済成長を継続できるかどうかの分岐点にきているのではないかと考えています。現在進んでいる「年収の壁」の見直し議論も人材確保の側面はあるものの、その一環かと考えています。
一方、国際情勢においてはウクライナや中東などで依然として紛争が絶えない中、アメリカのトランプ次期大統領の政策が、日本や中国との貿易関係や安全保障情勢にどのような影響を与えるのか、注目されているところです。
▽県民の命と尊厳を守る!
知事就任以来、県民の命を守る防災対策に取り組んできました。県内で必要とされていた18基の津波避難タワーの整備への支援や、東海三県で初となる県公式防災アプリ「みえ防災ナビ」の運用を開始するなど、ハード・ソフト両面からの対策を進めています。能登半島地震では、支援活動のため、県や市町、警察、医療機関などから約1万8000人の職員を派遣しました。この経験を南海トラフ地震の対策などに生かすため、ドローンを活用した孤立地域への物資輸送の実証調査や関係機関と連携した実動訓練を行うなど、災害対応力を強化します。
令和5年5月に津市において発生した児童死亡事案を受け「子どもを虐待から守る条例」の改正を進めるとともに、子どもの権利を守る「三重県子ども条例」の改正や、「三重県性暴力の根絶をめざす条例」の制定、カスタマーハラスメント対策のための条例の制定など、県民の皆さんの尊厳を保護するための取り組みを進めます。
▽未来を拓く!
現在、約170万人の県の人口が2050年には現在のおよそ80%にあたる約135万人になると言われています。三重県は令和5年8月に全国で最初に「人口減少対策方針」を策定しました。この方針に基づき、特に、経済分野で全国46位と低迷するジェンダーギャップの解消に向けて、働く女性の実態把握や職場環境の整備を進めます。
県内産業の力強い成長に向けて、半導体関連産業の振興や、スタートアップ創出支援、中小企業振興を図るとともに、農林水産業が持続可能な産業となるよう、スマート技術などを活用した生産性向上や気候変動への対応に腰を据えて取り組みます。
人材確保対策については、シニアや女性、障がい者など、誰もが働きやすい職場環境づくりへの支援や外国人材の確保・受入体制の整備を進めます。
道路などのインフラ整備は、災害時におけるネットワークの確保のみならず、産業や観光、医療を支える基盤であることから引き続き取り組みを進めます。
コロナ禍前と比較したインバウンドの回復率は全国47位(コロナ禍前の令和元年8月と令和6年8月の同月比)と非常に厳しい状況が続いていることから、三重の魅力を発信するための効果的なプロモーションに加え、宿泊施設や二次交通の観光インフラの充実など、質の高い持続可能な観光地づくりを進め、国内外から三重県への来訪を促す取り組みを積極的に進めます。
三重県が克服すべき課題に実直に向き合い、明るい未来に向けた施策を着実に展開していきます。
本年が皆さんにとって幸多く、明るい年となりますよう心から祈念申し上げます。
三重県知事 一見 勝之
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