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獅子舞がつなぐ地域の絆(1)

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1月1日(祝)~3日(水)、布気の獅子舞が行われ、布気皇舘太神社をはじめ、神辺地域の各公民館や住宅、事業所など、3日間で200カ所以上を練り歩きました。

各所で、勇壮で華麗な舞が披露されると観衆からは大きな歓声と拍手が起きていました。また、巡行の際に行う頭噛みの場面では、獅子の迫力に泣き出してしまう子どもの姿も見られ、家族や周りの人たちは、子どもの健やかな成長を願って優しいまなざしで見守っていました。

布気の獅子舞は江戸時代から伝わるとされ、布気皇舘太神社において五穀豊穣・無病息災・家内安全を祈願して始まったもので、その後、戦争や戦後の担い手不足などの困難を乗り越えながら受け継がれ、昭和31年に亀山市無形民俗文化財に指定されています。

3年に1度、舞年(丑・辰・未・戌年)の正月三が日に行われていましたが、コロナ禍による前回の中止を経て、令和6年の獅子舞は6年ぶりの開催となりました。

獅子舞に携わる人は布気町野尻自治会の皆さんで構成され、親・子・孫と代々参加する人や、子どもの頃に口取を経験した人が御頭や笛、太鼓を担うようになることもあります。代々受け継がれてきた舞と演奏は、手引書や楽譜などがなく、師匠や相談役から直接指導を受け、口頭で伝えられてきています。また、周囲へのあいさつや獅子を扱う前の礼、食前食後の祝詞など礼節の考え方が子どもから大人まで大切に守られています。

~神役(じんやく)紹介~
(1)口取(くちとり)…天狗の面を被って獅子の相手を務める
(2)御頭(おかしら)…獅子の中に入って舞を行う
(3)笛・太鼓…獅子の舞に合わせ演奏し、動きの緩急を音色で表現する
(4)獅子頭…普段は神社に祀られ、三が日だけ登場する(本番までは練習用の獅子を使う)
(5)5鉾(ほこ)…獅子舞の巡行を先導する

▽布気の獅子舞の構成
(1)四方舞(しほうまい)…四方の厄を払い、舞い清める
(2)乱曲(らんぎょく)…口取と一緒に酒を飲み、獅子が勇壮に激しく舞う
(3)お湯たて…春のもみ種の発芽を促す浸水のお湯で、四方を清める
(4)鉄砲撃ち…笹竹に鳥もちを付け、鳥を獲る余興
(5)花の舞…笹竹は稲を表し、稲の害虫を追い払い、五穀豊穣を祈祷する
(6)獅子頭の還幸(かんこう)…すべての舞を終え、獅子頭、天狗の面、鉾を本殿へ納める

■6年ぶりの獅子舞、感謝の気持ち
《Interview》
野尻自治会 会長 仲野 生作さん(鉾)

◇励ましの声を力に
自治会長として臨む初めての獅子舞ということもあり、経験があまりない私は、うまくやっていけるか心配でした。一方で、獅子舞がようやく実施できることは、ありがたく思っていました。開催が決定すると、他の地区の人からは、「大変だけど、頑張ってください」と声を掛けていただきました。

◇3日間で、神辺地域の6地区を巡行
各地区とも、お子さんからお年寄りまでたくさんの人が見に来ていました。たくさんの声援と、「伝統文化である獅子舞を今後も守り続けてください」とのエールをいただきました。布気の獅子舞は静かに舞う場面もあり、荒々しく舞う場面もあります。緩急をつけて舞う姿は、まるで目の前に生きた獅子がいるようで、最高でした。
約2カ月間毎日、みんなが心をひとつに練習や準備を行ってきたことと、各地区の皆さんのサポートのおかげで、すべての行程を無事に執り行うことができました。

■世代を超えて、大切な心をつなぐ
《Interview》
佐野 光弘さん(師匠)

◇獅子舞を通して大切なことを伝える
今年で獅子舞に携わって42年になります。口取の子どもが伸び伸びと元気に楽しそうに舞う姿を見せたいので、子ども自身が練習に来るのが楽しみになるような雰囲気作りを心掛けました。子どもや若手には、舞いだけでなく周囲への礼儀や感謝の気持ちを持つことも伝えています。

◇みんなで取り組んだ経験が、一人ひとりの成長に
子どもも大人も無事に成功できるように全員が一丸となります。各地区巡行中には、普段あまり会うことができない人や幅広い年齢の人と交流でき、地域全体の絆が深まります。獅子舞に関わった全員が参加して良かった、楽しかったという気持ちになることもやりがいのひとつです。
子どもたちには、獅子舞を最後までやり遂げたという経験が、将来直面するさまざまな場面で自信となってくれれば幸いだと思います。今年は孫(口取の阿部蓮太郎さん)と一緒に参加でき、私にとっても特別な経験になりました。約2カ月の練習、正月三が日を一緒に過ごした時間は、とても楽しく一生の思い出になりました。

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