■「仮面の舞(まい)」 昭和59(1984)年
「アフリカの面だよ」と、骨董売り場で見つけたという素朴な面を見せられたことがあります。アトリエの壁に掛けられた木彫りの面をあらためてみると、人間なのか王なのか神や精霊なのか、不思議な存在感があります。「仮面の舞」は、ベネチアのカーニバルの仮面など、中村が面に興味を持っていた頃に制作されました。面をつけて自分でないものに変身して舞う祭礼や儀式は世界中で見られますが、素顔をさらして踊るこの少女には、もう仮面は必要ないのでしょうか。素晴らしかったパリのオリンピック。さまざまな舞台で舞った選手たちの姿が思い起こされます。
特別協力:(公財)中村晋也美術館
【URL】http://www.ne.jp/asahi/musee/nakamura/index.html
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