市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。
伊勢総合病院 内科・総合診療科副部長 谷崎 隆太郎 医師
【質問】インフルエンザと普通の風邪(かぜ)の違いってなんですか?
【回答】インフルエンザの方が、いろいろしんどいです。
■インフルエンザと風邪の違い
「風邪」とは、いくつかのウイルスによって引き起こされる、主に「せき・はな・のど」の症状が「同じような時期」に「同じような強さ」で出現し、1週間程度で「自然に改善する」病気です。
一方でインフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症のことを言います。普通の風邪は1~2日で徐々に発症してきますが、インフルエンザは数時間~1日以内に突然発症し、通常、せき・はな・のどだけでなく、頭痛や強い寒気、筋肉痛や関節痛、時に下痢など、全身の症状も見られます。さらに、体のだるさも圧倒的にインフルエンザの方が普通の風邪よりもつらいです。加えて、普通の風邪は自然に治るため大きな健康問題にはなりませんが、インフルエンザは、まれに肺炎や脳症など命に関わる合併症を引き起こすのが嫌なところです。
よって、普通の風邪にしてはやけにしんどくて全身の症状もあり、急激に発症してきたらインフルエンザっぽい、ということになります。
■治療に使われる薬
風邪の治療には、以前は総合感冒薬と呼ばれる薬が用いられていましたが、現在はつらい症状に合わせた薬が処方されることが多いです。「あなたの風邪はどこから?」というコマーシャルがありますが、そのコンセプトは結構いいセン行っていると思います。
インフルエンザの治療には風邪の治療と同じ薬が使われることが多いですが、抗インフルエンザ薬という特別な薬も使用できます。抗インフルエンザ薬の主な効果は発熱期間を16時間程度短くすることができるという点です。
一方で、10~20人に1人が吐き気や嘔吐(おうと)のリスクがあります。また、抗インフルエンザ薬を使わなくても約半分の人は24時間以内に解熱することなどから、必ずしも全員が抗インフルエンザ薬を服用する必要はありません。ただし、持病がある人や高齢者、5歳未満(特に2歳未満)の小児では抗インフルエンザ薬を服用することで、死亡リスクや入院リスク、中耳炎のリスクを減らせたという質の高い研究がありますので、これらの人が服用するメリットは大きいです。
■予防が大事!!
このことから、上記のような皆さんにはインフルエンザワクチン接種も推奨されています。やはり、何事も予防が肝心なのですね。ワクチン接種だけでなく、手洗い・うがいも基本的な予防として有用です。しっかりと予防をして、この冬を乗り切りましょう!!
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