市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。
伊勢総合病院 内科・総合診療科副部長 谷崎 隆太郎 医師
肺の生活習慣病「COPD(シーオーピーディー)」が注目されています。COPDについて、谷崎先生に聞いてみました!
■その息切れ、COPDかもしれません!
皆さん自身、もしくは皆さんの周囲に、「なんだか最近疲れやすくて、動くと息切れが…」なんて人はいませんか?もしいたら、一度「COPD」の可能性について考えてみた方がよいかもしれません。
■COPDって、どんな病気?
COPDは日本語名で慢性閉塞性(へいそくせい)肺疾患と呼びます。かの有名なテレビ番組「笑点」の5代目司会者である故・桂歌丸さんが患(わずら)っていたことでも知られています。
COPDは、主に長期間タバコを吸うことにより発症し、運動時の息切れや、咳・痰(たん)などが持続する病気です。初期には無症状〜軽症ですが、進行すると肺の構造が破壊され、吸うことも吐くことも困難になり、常に酸素療法(主に鼻から吸う酸素吸入装置、右図参照)を必要としたり、体内に二酸化炭素が溜(た)まることで意識を失ったりします。
一般に、COPDは60歳以降に徐々に発症してきますが、初期には症状が軽いため、「年のせいかな?」と思って様子を見てしまう人もいるかもしれません。しかし、その初期の時点でCOPDが見つけられないまま、いよいよ進行して肺組織の破壊が進んでしまうと、もう元に戻すことはできません。
■早期発見と進行予防が大事
COPDは、できる限り早期に発見して適切な治療を開始し、それ以上病状が進行しないよう食い止めることが基本戦略になります。
進行予防で最も重要かつ効果的な方法は禁煙ですが、禁煙に加え、吸入薬や内服薬を使用することもあります。
自分がCOPDかどうか、かかりつけ医がいる人はその主治医の先生に尋ねてみるとよいでしょう。まずはセルフチェックをしたいという人は、COPD-Qという質問票で自分がCOPDの可能性があるかをチェックすることができます【URL】https://www.copd-jp.com/diagnosis。もしチェックの結果、COPDが疑われた人は、ぜひ一度近くの診療所で相談してみてください。
■肺の感染症に警戒を!
なお、COPDがある人が肺の感染症にかかると重症化しやすいため、肺炎球菌ワクチンおよび、毎年のインフルエンザワクチンの接種が強く推奨されています。COPDに限らず、この2つのワクチンは高齢者全員に勧められるワクチンですので、未接種の高齢者の皆さんは、ぜひこの機会にご検討ください。
過去の「広報いせ」掲載分は、市のホームページでいつでもご覧になれます。
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※COPDについての講演会のお知らせを、18ページに掲載しています。
※市の健康課によるCOPDチェックリストは、「広報いせ」11月15日号・6ページに掲載しています。
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