
市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。
伊勢総合病院
内科・総合診療科副部長
谷崎 隆太郎 医師
質問:日本人の平均寿命が男性81歳、女性87歳と聞きました。私は今60歳の男ですが、あと21年は生きられるということでしょうか?
回答:そうかもしれないし、そうじゃないかもしれません。未来のことは誰にもわからないのです。
■「平均寿命」と「平均余命」
2023(令和5)年の厚生労働省の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性で81.09歳、女性で87.14歳だそうです。勘違いされやすいのですが、これは、「2024年に生まれた人が平均何歳まで生きるか」というデータであり、「今生きている人たちが何歳まで生きられるか」を示したものではありません。例えば、今60歳の男性が平均であと何年くらい生きるのかを知りたい場合は、平均寿命ではなく平均余命が目安になります。
(厚生労働省「令和5年簡易生命表」より)
これによると、60歳男性であれば大体あと23年、83歳くらいまでということになります。では、実際に83歳までたどり着いた男性はどうなるのかというと、例えば、80歳時点で平均8.98年、85歳までいけば、そこから平均して6.29年余命があることが示されています。いずれの年代でも、女性の方が男性よりも平均余命は長めですが、年齢が若い頃は平均余命で6歳くらい差があるものの、年齢が上がるにつれてその差は縮まっていきます。その差が1歳未満になるのは、お互いが100歳に至った時であり、女性の生物学的な強さが際立ちます。
■数字にこだわらず、自分らしい人生を
ちなみに、こういったデータを見る際に重要なことは、あくまで平均値なので、これより短い人もいれば、長い人もいるということです。また、自分以外の大勢の知らない誰かのデータで作られたものなので、それが自分にも当てはまるという保証はない、ということです。
世の中はさまざまなデータで溢れていますが、数字に固執しすぎず、自分らしい生き様を大切にしていきましょう。
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