■鬼行列・だんじり巡行 4年ぶり通常規模で開催
10月20日(金)・21日(土)・22日(日)の3日間、伊賀地区最大規模の秋祭り「上野天神祭」が開催されました。400年余りの歴史をもち、伊賀上野城下町で受け継がれてきた祭礼は「上野天神祭のダンジリ行事」としてユネスコ無形文化遺産、国指定重要無形民俗文化財に指定されています。
コロナ禍で縮小開催が続いていましたが、今年は4年ぶりの通常規模での開催となり、百数十体の鬼行列と華やかなだんじりが巡行し、祭りの活気とたくさんの見物客でにぎわいを見せました。
◇鬼行列
悪疫退散と五穀豊穣(じょう)を祈念する鬼行列。「鬼町」と呼ばれる4つの町で伝承し、「役行者(えんのぎょうじゃ)列」「鎮西八郎為朝(ちんぜいはちろうためとも)列」の2つの行列で編成されます。使用される能面などは江戸時代初期から後期の作が多く、古いものでは桃山時代の面もあり、県や市の文化財に指定されています。
◇だんじり
9つの町の印と絢爛(けんらん)豪華なだんじりが優雅なお囃子(はやし)を奏でながら巡行。全部で9基あるだんじりの巡行順はくじ取り式で決められます。
◇悪鬼
悪という字には「強い」という意味が込められています。狩衣をまとい静かな所作ですが、顔は完全に鬼となり蛇体と化した真蛇の形相。
◇役行者
高虎公が大峰山に眼病平癒ゆ祈願を行い、この返礼として能面「阿古父尉(あこぶじょう)」を寄進されたと伝えられています。町衆はこの能面を被り大峰山峰入りの姿を再現したとされます。
◇鎮西八郎為朝
鬼行列の最後尾を飾る源為朝。強弓の名手で他に並ぶ者がいないほど武勇に優れた武者と言われました。鬼ヶ島に住む鬼の頭領を成敗し凱旋(がいせん)したという故事にちなみ、弓矢を片手に威風堂々と練り歩きます。
◇ひょろつき鬼
釣鐘や笈(おい)、大斧を背負いながら道いっぱいにひょろつき、子どもを泣かせて大人を笑わせます。泣かされた子どもは元気に育ち、触ってもらうと疳(かん)の虫が治るという言い伝えがあります。
■上野天神祭のダンジリ 行事を未来へ 笑顔がつなぐ 四百年の歴史
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