対談者:リー・アントワーヌさん、岡 敬子さん、大橋 律子さん
新年明けましておめでとうございます。今回の特集は、新春企画として、子育て世帯の移住者と岡本市長の対談をお届けします。
お越しいただいたのは、市内在住のリー・アントワーヌさん、岡敬子さんご夫妻と、大橋律子さん。令和5年11月にオープンしたJR新堂駅前の複合施設「SHINDO(シンドウ) YARDS(ヤード)」図書館「BOOKMARK(ブックマーク) STORAGE(ストレージ)」で、移住のきっかけや伊賀での子育てについて語っていただきました。(本文中敬称略)
■移住のきっかけ
市長:初めまして。本日はよろしくお願いします。
お二組とも令和3年に伊賀市に移住されたんですよね。それぞれの移住のきっかけはどんなものだったんですか。
岡:私たちはもともとベルギーに住んでいたのですが、私の母が病気になって急きょ日本に帰国することになったのがきっかけでした。
市長:岡さんのご実家は南伊勢町でしたよね。南伊勢も自然豊かですごくいいところですが、なぜ伊賀を選んだんですか。
岡:実家ではちょっと田舎すぎて夫の仕事が見つからないかなということで、はじめは二人とも好きな京都で家を探していましたが、なかなかいい物件が見つからなくて。
ですが帰国して初めてのお出かけで伊賀を訪れて、日本昔ばなしに出てきそうな里山の風景や、城下町の雰囲気のあるお家も多いのが印象的で、伊賀のことを調べ始めました。伊賀から京都まで一時間ちょっとで行けるし、母のことも心配だったので、京都より実家に近い伊賀がどんどん良く思えてきて、いい物件にも出会えたので移住を決めました。
市長:京都よりも家の価格はリーズナブルですし、自然豊かでありながら都会へのアクセスがいいのは伊賀の強みですね。
大橋さんはお隣の亀山市から移住されたということですが、どんなことがきっかけでしたか。
大橋:夫の仕事の都合と、子どもたちに合った小学校に通わせたかったことがきっかけですね。亀山では大きい小学校に通っていましたが、1学年1クラスのほうがのびのび学べるし、夫の仕事もこっちやし、いい家もあったし、「引っ越そうや!」という感じで引っ越してきました。
市長:いざ引っ越しとなると、家族の間でいろいろと話し合いもあったのでは。
大橋:それが、初めて家を見に行った時に子どもたちが「ここ僕の部屋!」「こっち私の部屋!」って、いっぺんに気に入ってしまって、その日のうちに書類書いて印鑑押しました(笑)
市長:早いですね。それだけ魅力的な場所に思っていただけたということですね。
大橋:それはもう。お米もおいしいし、子どもたちは給食でおいしい伊賀牛もいただいてますし、すごくいいなって思っています。子どもたちも毎日楽し過ぎるみたいで。ご近所さんにもよくしていただいて、本当にありがたいです。
市長:リーさんはベルギーのご出身で、今は伊賀でワッフル屋さんをされているんですよね。
リー:ベルギーでは映画の吹き替えの仕事をしていました。はじめは日本でも映画の仕事がしたくて東京に住むことも考えていましたが、日本に来たときに違う風が吹いて、綿毛のように風に飛ばされながら生きています。
市長:でも、いいところに着地したと思いますよ。伊賀での暮らしはどうですか。
リー:伊賀は都会の喧(けん)騒から離れた静かさもありながら、必要なものは手に入りますし、お店をしているので人の温かさもすごく感じます。
岡:この間もご飯を食べに行ったら「ワッフル屋さん!」と声をかけてくれました。
市長:私も何度かワッフルをいただきましたが、おいしかったですよ。
リー・岡:ありがとうございます。
■伊賀での子育て
市長:市では子育て施策を大きな柱の一つとして、市立小中学校の給食無償化や、中学生までの医療費の窓口負担無料化などに取り組んでいますが、子育て世帯のお二組はどう感じていますか。
大橋:給食費の無償化はめちゃくちゃありがたいです。子どもたちは給食でも必ずおかわりするくらい普段からよく食べるので、無償化になって本当に助かっています。
リー:子どもの病気のことで医療費を心配しなくていいというのは大きな安心ですね。
市長:反対に「ここはちょっとな」と思うことはありますか。
岡:今1歳の子どもがいますが、もう1人欲しいなと考えています。ただ市のシステムでは、2人目を産んで育児休暇を3カ月以上取得した場合、2歳までの上の子は保育園を退園させられてしまうんですよね。
市長:いわゆる育休退園ですね。でもこれは令和6年度からなくすようにします。
岡:そうなんですか、よかった。私は今36歳なので、上の子が3歳になってからだと妊娠できるか、また出産のリスクも高まることも考えるとなかなか難しいなと思うところがありました。
市長:やはり実際にお子さんを育てる身になって考えていくということが大事ですよね。
大橋さんはどうですか。
大橋:子どもたちのお稽古事がある日に、私や夫は仕事で送迎が難しい場合もあって、そういうときに誰かが助けてくれるようなシステムがあればいいなと思います。
市長:共働きのご家庭は多いですし、どうしても都合がつかないことはありますよね。市ではそういった場合に援助を受けることができる「ファミリーサポートセンター事業(ファミサポ)」を行っているんです。
他にもいろんな取り組みをしていますが、制度をつくるだけでなく市民の皆さんにそれを利用してもらって、いろんな声を聞かせていただいて初めて完成しますから、しっかりと広報していきたいと思います。
岡:私たちのような移住者の場合はお互いの両親が近くにいないので、すぐに頼れる人がいなくて。ファミサポには登録していて、本当にどうしても2人が見れないときにお願いしようと思ってるんですが、少しの用事や個人的な理由で利用するのは気が引けるんですよね。
リー:ベルギーでは週に1回くらいは両親などに子どもを見てもらって、夫婦でデートに行く文化があります。それに比べると、日本はそういうことがほとんどないですよね。なのでもっと軽い気持ちで1時間でも預けられたらいいなと思います。
市長:文化の違いもあって、日本人はちょっと申し訳ないと思ってしまいがちですよね。でもそれで子どもも親もいい時間が持てるようになれば、助けてくださる人にとってもいい時間になると思います。こんな施設でコーヒーを飲みながら過ごす時間もあるといいですよね。
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