■人工関節手術の新しい取り組み
股関節痛に悩まされる人の中で最も多い疾患が変形性股関節症です。変形性股関節症とは、主に加齢に伴い関節を覆っているクッションである軟骨がすり減ってしまい、骨同士が擦れあうことで痛みなどが起こる病気です。痛みが軽度の場合は、鎮痛剤の使用などでの保存加療を行いますが、痛みが強い場合は、変形した関節を金属などでできた人工関節に入れ替える人工股関節置換術による手術を行うことで、痛みがとれて満足した生活が可能となります。
従来の人工股関節置換術は、術後の脱臼のリスク、内股やしゃがみ込みの禁止といった行動制限がありましたが、当院では筋肉を全く切らない最小侵襲前方アプローチ(AMIS)による人工股関節置換術を用い、術後の脱臼リスクが低く、行動制限もなく、痛みが少なく回復が早い手術を行っています。さらに今年から、皮膚ふの切開を太もものしわのラインにすることで、傷が目立たずきれいに治るビキニ皮切を導入しています。(適応がありますので全員が可能なわけではありません。)
その他、膝の痛みがある変形性膝関節症の患者さんにはナビゲーションシステムを用いた正確な人工膝関節置換術も行っています。股関節痛、膝関節痛にお悩みの皆さんのお力に少しでもなりたいと思っていますので、お気軽に当院外来までお越しください。
(整形外科 部長 海野 宏至)
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