人権について考えるコラムです。
■多面的な価値観~混沌(とん)は幸せだった~ -島ヶ原支所-
古代中国の思想書『荘子』に「混沌、七竅(きょう)に死す」というお話があります。
目、耳、鼻、口がない混沌さんに、友人2人が目、耳、鼻、口を作ろうとしたところ、混沌さんが死んでしまうという話です。
友人2人は混沌さんにも自分たちと同じように目、耳、鼻、口があった方が「幸せ」でその方が「良い」と考えて行動したと思います。しかし、それが混沌さんを「不幸」にしてしまいました。
いろいろな教訓が読み取れる話ですが、私は「一方的な価値観で良し悪し、幸不幸を決めつけて、他者に押し付けてはいけない」という教訓だと思いました。
自分自身の言動や見聞きしたことを振り返ってみると「一方的な価値観」で決めつけてしまっている場面が多々ありました。
「あの人は結婚できて幸せだ」、「子どもが生まれて良かった」、「成績が良いあの子が進学校へ行くことができて良かった」その言葉の中には、それとは反対にそうでないことは「悪い」、「不幸だ」と考える「一方的な価値観」を含んでしまっていないでしょうか。そして、それを他の人に押し付けていないでしょうか。
「幸せ」や「不幸」は一つの尺度では測れないものです。「一方的な価値観」に振り回されると他人だけでなく自分も傷つけてしまいます。学校の成績が悪いと落ちこんだり、結婚しなければと焦ったり、「一方的な価値観」に当てはまらないことで、生きづらさを感じたことはないでしょうか。
みんなが生きづらさを感じなくて良い社会にするためには、「一方的な価値観」で物事を判断せず、「多面的な価値観」を知り、自分自身の意識や考え方を新しくしていくことが大切だと思います。
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